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【挿絵6枚★】"皿" になってくれませんか?_5/5  ~最高の一皿を求める人へ贈る、おかしなスイーツ系BL~


僕は、例のケーキ屋の一室で"皿"になっていた。

「…あの…ま、まだ…ですか…?」
すでに10分ほど、僕はずっと同じ体勢をしていた。背中が痛いし、太ももがプルプル痙攣している。

「まだだ…もう少し目に刻みつけてから…食べたい。」
Bさんはじーっと、裸の僕の上に乗ったケーキを見つめながら答えた。
彼はあくまでケーキを見ているだけだろうが、これにはかなり羞恥心を刺激されてしまう。
(あぁ早く、早く食べてくれないかな…
 同性同士とはいえ、この格好とかポーズは色々と辛すぎる……)

そんな僕にのせられているのは、10センチ位の丸いショートケーキだった。

 

中央に真っ赤な苺、その苺を囲むようにスライスされた桃が配置されている。
薄く折り重ねられた桃は、薔薇の花びらのようで可憐だ。
そして、その果実達を包み込むかのように、なんと綿飴がトッピングされている。
すごく幻想的で、かわいらしいケーキ。
Bさんからは、天使をイメージした作品だと教えてもらった。
 

(綿飴を使ってるケーキなんて初めて見たな。
 ケーキと綿飴かぁ…どんな食感なんだろ?
 ……そうだ、食べる時はどうするんだ?)
主役のケーキは肌に直接ではなく、シリコンっぽい容器の上にのせられていた。
だから食べる時は容器ごと移動させればいいだろう。
ただ僕の胸から腹にかけてはケーキ以外にも、フルーツソースやラズベリー等のトッピングに使用されていたのだった。
 

(飾りだし、きっと拭き取るんだろうな…)
貧乏性な僕はつい、もったいないと思ってしまう。
でもシャワーを浴びたとはいえ、他人の腹の上にかけたものを食べるなんてしないだろう。

(あ、でも、ぉ、女の子だったら抵抗ないかもな…。だからあの写真は女の人だったのかも…)
1ヶ月ほど前に見た写真を思い返していた最中、それはやって来た。

ペロッ
「っひぃ!?」

え?…えっ?
い、今、何が起きた………?

 

「ああ、やはり程よく温まっていていいな。それに舐め取った時の舌触りもなかなか…」
何食わぬ顔でBさんが呟いた内容から、やはり舐められたのだと思い知った。

(っ、な…、な、
  っはぁ――――――――――――!!??)
そのショックに、僕の思考回路はまたもやショートした。

 

(ぇ、っえ?なんでっ!?なんで舐めた?!
 わ、わからないっ、なに?え、これ、なに?
 あ、待て、落ち着け、れ、冷静になって、ケーキがずり落ちたら大変だからっ…)

僕は今度こそパニックに陥った。
だが、なんとか皿としての使命を思い出し、いたいけなケーキを死守することに意識を注ぐ。

 

そんななか耳に届いた、無骨なパティシエがこぼした言葉…
「やはり、最初はショートだな。」

(え。さ、最初…?
…ま、まさか、次がある……?)

 

頭の片隅で恐ろしい予感を覚えながら、僕はその後もしばらく羞恥その他諸々に苦しめられるのだった。
 
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