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【読書録】invert Ⅱ 覗き窓の死角

はじめに

 城塚翡翠シリーズの最新作を読み終わりました。本作は倒叙集の2作目で、基本的には犯行を終えた犯人側の視点で進みます。城塚翡翠にどんどん追い詰められていく犯人の心境を楽しめます。
 先週刊行されたばかりなので、なるべくネタバレなしで感想を書きたいと思います。最後までお読みいただけると嬉しいです。
 

ライトな文章に本格的なトリック

 本作に限らず本シリーズは個性豊かなキャラが多いです。そのキャラたちの軽快な掛け合いで物語が進むため、かなり、ライトな読み口なミステリです。本作は短編と中編の2作収録されており、短編の方は短絡的、中編の方は緻密なトリックと対照的になっています。
 短編の方は犯人が10代の学生のため、殺人事件が起きている現場のやり取りとは思えないくらいで、時々吹き出しそうなる場面もありました。反対に中編の方は入念に練られた計画的犯行で少しずつ明らかになる証拠から、どうやって犯行を証明するかという質の高いミステリとなっています。
 本シリーズは城塚翡翠から読者への挑戦状が課せられます。倒叙もののため犯行のトリックを考えるハウダニットのみなのですが、全く分かりませんでした(笑)

城塚翡翠の「正義」が垣間見える

 多くの名探偵物がそうであるように本シリーズも探偵である城塚翡翠の視点は描かれず、周りのキャラクターと犯人の視点で物語が進みます。なので翡翠の思いはセリフからしかくみ取ることができません。中編の最後では翡翠の殺人を否定する強い思いが垣間見えました。また翡翠の素性についても少しだけ踏み込みがあり、本シリーズがまだまだ続くことが見て取れました。

さいごに

 シリーズ1作目のmediumを読んだ時の衝撃は今でも忘れられません。そして今こうやってシリーズ化し、ついに実写ドラマ化までされました。これからも城塚翡翠という名探偵の軌跡を追い続けたいと思います。最後までお読みくださりありがとうございました。


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