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【読書録】教団X

はじめに

 中村文則さんの「教団X」を読了しました。世間では新興宗教が話題になっている昨今にこの本を手に取ったことは何か運命めいたものを感じました。約600ページと中々の分量かつ内容もかなり複雑でメッセージ性の強い作品だったので、上手く感想をまとめられるか分かりませんが最後まで読んでいただけると幸いです。(*ネタバレ注意です)

多くの社会問題が盛り込まれている

 本作は2つの新興宗教団体を舞台に物語が進みます。詳細は省きますが、1つは宗教というよりは社会人サークルに近いような団体であり、もう一つは完全なカルト宗教です。両方の信者と教祖の視点が入れ替わりながら話が進みます。ある信仰や思考を信じる人とそれを提供する人、利用する人と様々な人たちの思惑が重なり、重大な事件へとつながります。
 本作は新興宗だけなく戦争、テロ、貧困といった世界規模の社会問題に大きく切り込んでいます。これらの問題に対する著者のスタンスが根底に感じられます。またこれらに加えて科学的な話も盛り込まれているため、この作品を書くのに一体どれだけの時間をかけたのだろうと思いました。(私が今まで読んだ小説で参考文献が一番多かったと思います。)

ほとんどの登場人物が心に闇を抱えている

 本作の登場人物にいわゆる普通の人はほとんどいません。多くの人物が暗い過去やトラウマのようなものを抱えています。またそのほとんどが幼少期の記憶であり、本人たちにはどうすることもできなかった状況ばかりです。
 登場人物たちは様々な目的で入信していますが、共通しているのは全員ただ自分の欲求や目的を果たすためだけに行動していることです。多くの人物の思惑が複雑に絡まりながら進むのが本作の見どころだと思います。

さいごに

 ここまで読んでいただいたらお分かりかと思いますが、正直まだ本作を咀嚼しきれていません。私の拙い文章ではとても語れる作品ではなかったです。
いつかこのレベルの複雑な作品の感想を書ききれるようにこれからもnoteを続かていこうと思います。
最後までお読みくださりありがとうございました。


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