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お前の直感は間違ってるから注意しろ!

突然だけど質問!

直感で答えよう!
政治家と芸能人、不倫をしている人が多いのはどっち⁉

出典:週刊女性PRIME

なんとなく芸能人のほうが不倫してそうな感じがするよね! その理由は、「遊んでそうだから」とか「お金があるから女性に手を出しやすいんじゃないか」とかいろいろありそうだし!

でも実際は「政治家より芸能人のほうが不倫しやすい」という事実はないよ! どうしてそんなイメージがあるのかというと、単純に「政治家よりも芸能人の不倫のほうが報道されやすいから」というだけなんだ!

こうした「思い出しやすさ」とか「ひっぱり出しやすい記憶」によって判断や確率・頻度を高く見積もる傾向やバイアスのことを「利用可能性ヒューリスティック」というよ!

つまりお前は、芸能人の不倫について報道をよくみかけていて、思い出しやすいから「芸能人は不倫をよくする」と直感的に考えてしまうんだ!

利用可能性ヒューリスティックのイラスト
出典:毎日が発見ネット

こうした利用可能性ヒューリスティックはさまざまな場面で利用されていたり、間違った判断のもとになっているから意識しておくことで賢く生きていけるよ!

人間の直感はメディアが左右する!

このように、人間は思い出しやすい情報や記憶の重要性をたかく見積もる傾向があるんだけど、こうした「思い出しやすさ」はマスコミの報道によって左右されてしまうよ!

毎日のように何度もとりあげられるトピックについては、忘れたくても頭に残るし、気がついたらそのトピックについて考えていたりするよね! だから、お前が普段考えていることや意識が向かう事柄は、マスコミが大きな影響力をもっているんだ!

逆にいうと、メディアは大衆の意識が向かう先をコントロールできるとも言い換えられるよね!

皆で考えてほしいことや行動を起こしてほしいときはバンバン報道するけど、皆に忘れてほしいことや注目を集めたくないことなど、都合が悪い時にはマスコミが「報道しない自由」を発揮するのは周知の事実!

「報道しない力」こそマスコミ最強の武器!

こうしたマスコミやメディアを上手につかって大衆扇動をしたのが、あのヒトラーだね! あったまいい!

ヒトラーの大衆扇動術!

また、最近でいえば感染症や戦争についての報道が毎日行われているよね!

数年前まで日本ではだれも興味をもっていなかったし、だれも重要だと考えていなかったのに、いまでは誰もが問題視して熱心にテレビにくいついているのも、利用可能性ヒューリスティックが原因の1つなんだ!

こうした報道を毎日浴びているとこの記事このマガジンで解説したような、べつの見方ができなくなってしまうよ! どちらが正しいとはいえないけど、偏ったものの見方は間違った判断や行動につながるね!

でもその一方で、この記事で指摘したような「うつ病患者の増加」や「子供部屋おじさんの増加」などはあんまり報道されないし、重要だと考えている人も多くはないよね!

もちろんうつ病患者・子供部屋おじさんの増加、所得が増えない問題も重要なんだけど、ぶっちゃけ話題性に欠けるしおもしろみがないんだよね! テレビ局や新聞社も営利企業だし、注目を集めてお金が稼げる話題をとりあげるのは当たり前なんだ!

メディアは広告料で稼ぐ営利企業!
出典:マイナビ

その結果、マスコミによって思い出しやすい情報が操作され、利用可能性ヒューリスティックが働き、お前の直感があてにならないものになっていくよ!

専門家の直感は正しい!素人の直感は怪しい!

私たちの普段の判断や行動についてはほとんど問題はないよ! 日常生活のなかでは無意識にたくさんの判断をしているけど、そのほとんどはなんとなくの印象や直感で決めているんだ!

そして、その直感は間違っていると感じることはないよね!

でも実際は正しいわけではないんだ! 間違っているのに正しいと思いこんでいることはよくあるよ! さっきの「芸能人の不倫」についても、利用可能性ヒューリスティックに引っかかっていた人も多いんじゃないかな!

「じゃぁ直感は信じないほうがいいの?」

という疑問に対する答えは、

「専門家の直感は正しい! 素人の直感は怪しい!」

となるよ!

例えば、火事の家にかけつけて消火作業をはじめた消防士の隊長は、自分でもよくわからないまま「早く逃げるんだ!」と叫んだんだ! すると全員が逃げた直後にその床が焼け落ちたんだよね!

隊長は床が焼け落ちることを直感で感じとったんだけど、その根拠となったのが「火の勢いは弱いのに、なぜか耳がめっちゃ熱い」ということだけ! この小さな情報から隊長は「危機の第六感」が働いたんだって!

「なにがおかしいかはわからないけど、なにかがおかしい」という隊長の直感がなければ、大惨事になっていたかもしれない!

このように、素人の直感はあまりあてにならないけど、経験と知識を積み重ねた専門家の直感は正しい事が多いんだ!

心理学における直感!

「消防士パネェ! まるで魔法だ!」

確かに専門家の直感は魔法みたいなところがあるよね! でも認知心理学者で情報科学者であるハーバート・サイモンさんは、直感についてこんな名言を残しているよ!

ハーバート・サイモンさん!

「状況が手がかりを与える。
この手がかりをもとに、専門家は記憶に蓄積されていた情報を呼び出す。
そして情報が答を与えてくれるのだ。
直感とは、認識以上でもなければ以下でもない」

ハーバート・サイモン

つまり直感とは魔法でもなんでもなく、蓄積された莫大な知識や経験から得られる「認識」なんだね!

また、サイモンさんはチェスの名手を調べたよ! その結果、チェスの名手が盤上のコマを素人とはまったくべつの見方ができるようになるのは、数千時間におよぶ鍛錬が必要であることをがわかったんだ!

例えば、藤井聡太さんや羽生善治さんみたいな将棋の天才と、将棋の素人が同じ将棋の盤面をみても見える世界はまるで違うよね!

さらに、羽生善治さんは自分でも驚くような手が「見えた」ときには、手が震えてしまうという「羽生マジック」と呼ばれる妙手を指すことがあるよ! これもまた素人には理解できない専門家の直感だといえるね!

藤井聡太と羽生善治の画像
出典:日本将棋連盟

素人は「なんとなく」で決めてしまうから失敗する!

専門家の直感と素人の直感の違いは、膨大な知識や経験、鍛錬の有無から生まれるよ!

例えば、羽生善治さんの直感に頼る一手と、素人の直感に頼る一手とでは、まるでちがう意味をもつよね! 達人の一手には膨大な知識と経験による裏付けがあり、状況を認識したうえで浮かぶ直感だから正しい一手である確率が高いんだ!

でも素人の一手は知識もなければ状況を正確に認識することも難しいから、正しい確率は低いよね!

ここで別の例をあげてみよう! 例えば、お前がトヨタの株を買うかどうかで悩んでいるとする! お前が専門知識と的確な状況認識にもとづいた直感に頼る場合、その判断は正しい可能性は高い!

でも、専門知識もなく状況を正しく認識できていなければ、正しい直感は働かない! でも、「直感らしきもの」は働くんだ! それは「私はトヨタの車が好きか?」という質問への回答だよ!

この質問にイエスなら、「トヨタ株を買うべきだ!」と直感したと勘違いして、間違った判断を下してしまうんだ!

「好み」と「直感」を混同するな!

こんな感じに、素人は「好み」と「直感」を混同して間違ってしまうことがあるよ! だから素人の直感はあてにならないんだね!

どうしてこんなことが起こるのかというと、難しい局面にたたされたときに人は物事を単純化して考えたいがために、複雑な問題を簡単な問題に変換してしまうからなんだ!

さらに、問題をすり替えたことに自分でも気づかないから厄介なんだね!

だから自分が素人だと思う分野について難しい判断を迫られたときは、直感に頼らないほうがいいかもしれないね! 情報収集をして熟考したり、専門家のアドバイスを参考にすることが大事だ!

つまりちゃんと学んで自分の頭で考えろって話だね! じゃないと自分の直感を信じて間違った判断をしたり、騙されたりするかもよ!

でも残念なことに、人間の行動や判断に対する影響力は熟考よりも直感に基づいた思考のほうが大きく、ほとんどの選択や判断の材料になっていることが研究でわかっているんだ!

こうした直感に基づいた思考を「システム1」、熟考のことを「システム2」といって、それぞれに特徴があるよ! この話はまた次の教養で解説するから、フォローして待っててね!

それぞれの思考法の特徴やメリット・デメリットを理解していると、間違った判断を避けられるんだ!


心理学の教養」や「メンタルの教養」では、こんな教養もよくみられているよ!


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