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岡山一宮 美作・吉備のパワスポ全開旅  その1 イイ・ヤシロ・チ㊽

「一宮にご一緒しましょう」と声掛けされて出かけた、弾丸一宮三社巡り。

今回の旅の道連れさんは、二人きりでの参拝は初めての、やはり五十路おみなさん。神道に関する論文までも書かれている方だから、わたくしのようなナンチャッテ(自覚あり)な参拝をする人間が同行してもいいのかしら?とは思いつつ、「是非参りましょう!」と熱い誘い言葉を頂き、決行の参拝。

行き先は、道連れさんゆかりの岡山県。二人そろって初めましての中山神社と、有名な吉備津神社、そしてわたくしお気に入りの吉備津彦神社の三社である。

スタートは、時間に正確な彼女には珍しく、岡山駅で待ち合わせの予定が、ほぼ1時間遅くなってのレンタカー出発となった。そのことも「この時間調整は上から来てますよね。」などと言い合うほどに、お互いの感覚はそろっている。

彼女の到着までの時間、わたくしは岡山駅をゆっくりと探索し、自宅へのお土産候補も決められた。久しぶりの岡山駅のエキナカはとても洗練されていて、土産物もおしゃれにグレードアップしていると知れた、充実の待ち時間。

ちなみに、↑は岡山駅でのお土産選びのご参考に。そして、わたくしは↑にはない、ご飯のおともとして、焼ままかり広島レモン風味をお持ち帰り決定。↓

そうして、改めての待ち合わせもスムーズに、美作(みまさか)の一宮、中山神社を目指す。

わたくしたちも晴天の下、「晴れの国 岡山」を満喫しつつ、お昼近くに到着。ちょうど鳥居横の駐車場が1台分空いていたのも有難いタイミング。

貫かれていない貫(ヌキ)とはどうして?

立派な鳥居もさることながら、その手前の巨木に心惹かれる二人。道連れさんは見上げて一言、「震えてきますね。」

存在感が偉大な椋の木
光降る若葉繁る大樹

一方、わたくしは、気持ちいい~♪と森林浴ならぬ巨木浴を深呼吸でたっぷりといただき、生命エネルギーが賦活するような気持ち良さを体感した。

この祝木(いおき)の椋(むく)には、大国主命の祠が祀られてあった。五百年の間、此処で人の仔たちの往来を見守ってこられた大樹の包容力が素晴らしい。

懐に抱かれるように祠が祀られて

気分も盛り上がって、堂々たる石の鳥居をくぐると、境内の植物も生き生きと輝く、イヤシロチな参道がまっすぐに伸びていた。耳には涼やかな水音が響き、昨夜の降雨で豊かな流れが美しく社殿を取り巻いていた。

ゆったりな参道の先に神橋、神門、その先に拝殿
手水舎横の出雲構え型の狛さんは厳しいお顔
神門横頑張る狛さんは、耳が横について口が広いお猿さん顔

神門を潜って拝殿前に進むが、奥に在るという猿神社にピリリとアンテナが反応する二人は、拝殿後方に向けて、さっさと足を運んだ。

そうして鳥居の前までやってくると、「あっちの世界は凄そうですね。」とまた道連れさんが少し臆するように呟いた。

鳥居の先はトトロの隠れ家のように見える

そう聞きながら、たぶん一人では行けない雰囲気なのに、今はなんだか喚ばれている心持ちなので、わたくしの足は止まることなく進んでいく。「この人を連れて来いってことかなあ」などと思いながら。

ますます大きく響く清流音が伴走する参道は、左手のお山に沿って鳥の囀りが降ってくるヒーリングサウンドのエリアだった。加えて植物から発生する芳しい香りも心地よい。それほど苦労することなく、目指す猿神社の足元に到着。見上げると、手すりの付いた階段が整備されている。登るべし。

登っておいでの合図も降って

前日の激しい雨天ならば、足元は滑りやすく危険で断念だったろうが、なんなく猿神社の神前に辿り着く。涼しくて気持ち良い空気のなか、いざ参拝と思ったら、正午を知らせる旋律が何処からか流れてきた。「あー、このタイミングで来てほしい、という思し召しでしたか。」と二人で笑いあった。

猿神社の伝説はなかなかにワイルドだけれど、かつて此処に新しくやってきた支配者が、住民が以前から崇敬する神様を取り替えるためのストーリーかもしれず、などと妄想は膨らむ。どうしたって敗者は悪者にされるから。それに、子育てのお祈りの対象なれば、やはり母神様であるだろうな、と考える。山の女神様がさらに上部に祀られていると考える方がすんなりと落ち着くようだけれど、いかがだろう?

などなど想像しつつ、まずはご挨拶を済ませて参道まで降り、社が祀られている岩肌を見上げた。その真昼の太陽からの目映い光で飾られた煌く光景に、此方の神様からの合格印を頂けたように感じた。

さて拝殿に、と向かうと、中山式と言われる独特の建築様式の美しさに魅せられる。ほとんど貸し切りの境内で、格調高い造作の見学とご挨拶ができた。

青空が渋い社殿の美しさを引き立たせて眼福

「気持ちよい参拝でしたね~」とご満悦な二人は、次なる目的地吉備津神社をやる気満々で目指す。道中は、しばらくぶりの互いの近況報告などの旧交温めながらのおしゃべりドライブである。

結果、到着は2時すぎとなり、楽しみにしていたランチ予定の桃太郎茶屋の蕎麦はお預け(涙)となった。此方でお昼を希望の方は時間を要チェックである。近くには食事処はないので、ご注意いただきたい。

少々がっかりなわたくしと違って、「神社に来いと言われてるのでしょう」と挫けない彼女。これ迄の体験上、お参り旅はなぜだか二通りあるとわたくしは考える。食事やお買い物をする時間もなく、追い立てられるように巡るパターンと、食事やお茶、お買い物も楽しいゆったり参拝である。どちらも素晴らしい体験ができるのは間違いない。どうやら今回は残念だけれど、前者のよう。社殿前に到着する時間に厳しいスケジュールがあるようだ。とにかく、気を取り直し、参拝に向かうしかない。

矢を置いた岩という故事が意味深に感じて
何やら神々しい石段前
個性的な黄色いしめ縄 奥には鮮やかな朱塗りの本殿
外に回ると眩い光の花が美しいお屋根を飾る
後ろ戸にも虹光かかって

確かに美しい社殿が明るい日の光を浴びて、一層きれいに見えるタイミングだった。十二分に建築美を堪能し、有名な長い回廊の山側に祀られる各社にもご挨拶しながら、ストーンサークルや古墳跡なども確認して進んだ。回廊の先の裏口には、女神を想起させる子育ての神社。乳房の作り物を奉納するのだから、やはり母神。

母神様が大事にされている名残りか

其処から境外に目を向けると、山肌に祀られて、水を放出する滝祭宮。明らかな龍神様だ。そちらにご挨拶をしてから、回廊を戻って入ろうとした御竈殿は受付終了の3時を過ぎて入室ならず。温羅(鬼)へのご挨拶は今回は省かれてしまった。「今日は、行かなくていい処は、行けなくなってるようですね?」とまたしても、二人で苦笑い。

瀧祭社からは山水が滔々と流れ落ち

そのまま、わたくしたちは境外に出て、神池に向かった。かねてより、その場所の美しさがお気に入りなわたくしは、彼女を案内したかったのだ。行き交った白人の観光客も「美しいですね」とにこやかに声をかけてくれた。「此処で、彼女を龍神に逢わせるのがミッション?」とふと思ったことだ。

看板には商売の神様と書かれているけれど、どうだろう?
神池にせり出す松の古木 鱗ある龍の姿を顕現して
龍の象りの松と竜宮城?

こうして、吉備津神社参拝を終え、車に戻って持参のおやつを取り出した。何故フルーツジュースやお菓子を二人分持ってきたのか自分でもわからないが、グッジョブと思う。とりあえずのカロリーを補給して、最後の吉備津彦神社に向かう。

そこでわたくしたちは、現地に向かえばわかることが必ず在ると、思い知ることになるのだった。
その2に続く。

俯いて咲く シラン奥床し

最後までお読みくださり、ありがとうございます。和風慶雲。


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