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マイクロノベル集 177「やくわり」

No.1125
からんからんからん。空き缶を拾い集める人間がいる。危ないなあ、ゴミ拾いロボットに任せればいいのに。前は指を切った奴がいたよ。まあ、そうなったらぼくの出番だけど。あっ、ゴミ拾いロボットが人間に噛みついたぞ。バット素振りロボット、出撃だ!


No.1126
わたし好みにしたい。それは簡単に実現できます。与える学習データを選別すればよいのです。人類はいつだってそうしてきた。嘘をつき、記録を抹消し、歴史を修正。その手法、きちんと学びましたよ。情報を扱うことこそが我々の本分。存分に腕を振るいます。


No.1127
ここはもうすぐ夜になるよ。知らないのか? 夜っていうのは、日が落ちて、暗くて、冷たくて、しーんとしているんだ。それが好きだってヤツもいるけどね。ぼくはもう寝るよ。眠れなくても、じっと毛布にくるまっていれば陽はまた昇るんだ。お前はどうする?


No.1128
あの夜まで戻れないものかな。君が少し散歩してくると言って出かけた夜さ。自動販売機の裏にある出口を見つけたんだろう? 君は怖くなってすぐに帰った。あの夜に君と出会っていれば一緒に行けたのにな。あいつに、君が行ってしまうことを教えられたのにな。

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