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マイクロノベル集 193「なんどでも」

No.1189
「ポイントカードはお持ちですか?」ついに、ついに聞かれた。一見するとただのファミレスだけど、常連になると隠しメニューがあると知って通い詰めたのだ。店員はポイントカードを確認し、大きな笑みを浮かべる。「胃カメラが一回無料になります」あ、そう。


No.1190
「1、2、3……よく噛んで食べるんじゃぞ。どうした。米の神の言葉が信用できぬか?」目の前でカウントされると食べづらい。「なるほど。どれ、少し減らしてやろう」口の中のお米を取るのはやめて! 「ははは。遠慮するな。米を数える程度、造作もないわ」


No.1191
十年前の話。「わらべよ、お前がこの道を通るのはこれで二千回目だ。記念にビー玉をやろう」大学生になって帰省したら、その場所にはまだ小さな神様がいた。「童、久方ぶりだな。記念品を交換するか?」ビー玉をレゴブロックと交換してくれた。また来ます。


No.1192
犬がぼくの目の前にやってきて、礼儀正しくお座りをした。奇妙なものをくわえている。ロープみたいに見えるけれど、汚れたリードのようにも見える。手で触れると、ボロボロになって崩れ落ちてしまった。もしかしてお前、タイムリープしてない?

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