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マイクロノベル集 126

901
部屋の隅に黒い塊。長年場所を借りていたから恩返しするって。お前の名前は? 「泣きぼくろ」ふうん。突然価値が上がったからって、特別扱いはしませんからね。


902
箱の中には妹の部屋。最近ちょっとディスコミュニケーション。ふたには注意書き。「熱力学的に内と外は断絶されています」開けたら焼き肉デート。「効率よく焼けるので」カルチャーショック。


903
おもちゃを片付けていたら、ずっと忘れていたロボットが出てきた。正義のロボット、起動! 君は悪のネズミ戦士と闘うロボット。ティッシュ箱のビルを破壊しながら、縦横無尽に闘う。「うわあ、懐かしい」息子が笑う。そう、あなたがよく遊んでいたわね。


904
裏山に落ちた月から兎が下りてきた。「食糧難なのです。満ち欠けに左右されない農作物を分けて下さいませ」よくわからないけど人参かな? 「人が参る。二、三で、一と四がないから欠けない。素晴らしい!」とても喜んで帰った。同じ四本足だし仲良くしようね。


905
月が見たい? つまらん願いだ。月の軌道など、たかだか38万キロメートル程度ではないか。我らが魔王の星ルシファーに比べれば庭も同然! 刮目して見よ、地獄の力!! ハァハァ……あ、月見団子くれるんッスか。どうも。

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