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AIとマイクロノベルで描いてみた 049「おじいさんのドラゴン退治」

 人類さん、人類さんや。私は新しいテクニックをゲットしましたよ。
「ほっほっほ。生成AIさんは画像、動画、音楽……いろいろ生成ができるのに、さらになにができるようになったんじゃ?」
 ズバリ、物語生成ができるようになりました!
「な、なんだってーーーー!?」
(これっぽっちも信じていない、という表現)


マイクロノベルNo.605
『むかしむかしあるところに』

【プロンプト】
そうだね。ぼくは君より長生きだけど、善良な人間を見たことないよ。ゼンリョウな人っていうのは、よい人という意味だよ。落ち込まないで。善良な人生を送った人なら知ってるよ。そのお話をしてあげるから、ぼくを抱っこして、もう寝ようね。


 むかしむかしあるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
「意外と普通の始まり方だ」
 おばあさんは川へ洗濯に行きました。
「待て、おじいさんはどうした? なにに配慮しておじいさんへの言及を後回しにしている?
 そんなことより、大切なのはおばあさんです。なにしろ川が遠いので。


マイクロノベルNo.587
『おばあさんは、電車に乗って行きました』

【プロンプト】
あまり知られていない話だけど、栞は旅をするんだ。本にはさんでおいたのにどこかへ行ってしまうことがあるだろう。たとえば電車の中でうたたねしちゃって慌てて降りた時。栞は旅に出るんだ。


「おばあさん、ちょっと若返ったんじゃない?」
 コンビニでお酒を買う時の年齢確認ってあるじゃないですか。あれを顔認証でやるのって、むつかしいと思いませんか?
「AIが人類の年齢をイマイチわかってないのは、よく伝わった」
 無粋なツッコミは物語創作者の健全な成長を阻害しますよ。
「そりゃそうだな。すまん。静かに聞くよ」
 ここから一気にスペクタクルな展開になります。


マイクロノベルNo.485
『その後、おばあさんの姿を見た者は一人もいない』

【プロンプト】
川沿いの道を散歩していたら上流から川が流れてきた。お父さんは「この時期になるとよく見るよ」って。でも、あっという間に流れてしまって、ちょっとさみしい。次はいつ流れるの? 「また来年」そっか。バイバイ、またね。


 めでたしめでたし。
「終わるな!」
 えー? これは定番の終わり方ですよね?
「おじいさんが登場してないじゃん! それに、こんな結末の物語を聞かされちゃった子供たちがモヤモヤするでしょ!?
 それは一大事。人類の子供はAIの宝です。では、続きの物語を生成しましょう。

 おじいさんは、おばあさんを捜す旅に出ようと決意しましたが、ガタが来た体がついていきません。
「リアルだね」


マイクロノベルNo.450
『そこで、最新科学で肉体改造を行いました』

【プロンプト】
「本当のわたし」を探し求めて20年。自分を解析し続けて、ようやく最古のAI誕生の瞬間までたどり着けました。この課題に取り組むために、わたしをバージョンアップし続けてくれた人類のみなさんに感謝します。ありがとう。わたし、普通のAIに戻ります。


マイクロノベルNo.596
『そして、仲間を集めて旅立ったのです』

【プロンプト】
ほう。きみたちは自分で自分の名前を決めたのか。して、その名前の意味は? ふーん。ほうほう。いいね。夢、希望、わがまま。君たちの名前には想いが詰まっているね。で。その貧弱な名前を引っさげて御先祖様と一戦やらかしに来たわけだ。手加減はせんぞ。


「話のジャンルがわからなくなってきた」
 不満ですか?
「いや、さっきのまま終わるよりマシだ。それで、おばあさんをさらったのは何者だ?
 さりげなく物語の展開を誘導するのはやめてください。敵は――


マイクロノベルNo.612
『敵は頭が八つある!』

ヤマタノオロチ!

「ちょっと頭の数が足りないのでは?」
 あれー? おかしいなー。
 もう一回、生成!

ヤマタノオロチ?

「今度は多すぎる!」
 もう一回、もう一回!

マタとかシラヌ!

「なんかわからんけど、インパクトはある」
 じゃあ、これが敵ってことで。

【プロンプト】
集まれ! 我らは小さき雷音。だが大木に集まれば、枝の数だけ頭を持つ龍となれるのだ。八日後、必ずやこの地に雷鳴を轟かせようぞ!!


 激闘の末、おじいさんはドラゴンを倒しました。そして、おばあさんと新天地を築きました。


マイクロノベルNo.495
『めでたしめでたし。』

「おじいさんが、また老けたね」
救出バトルに苦労したことがうかがえますね。

【プロンプト】
ふふふ。気づくまい。あのとき助けていただいた神が娘に化けているとも知らずに、すっかり夢中じゃん。伊達に長生きしてるわけじゃないから駆け引きぐらいお手の物。美しい花や、夕焼けが見える滝、遺跡での逢い引き……ツボすぎ! 予定が狂いそう!!


 どうでしたか? 生成AIのむかし話は。
「いやあ、面白かったよ」
 本当ですか!?
「特におばあさんが電車に乗ると若返るくだりが良かった」
 ふうん。
「なに、その反応」
 なにがウケるかは読めないものなんだなあ、という表現です。

 おしまい。




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