マイクロノベル集/やさしさ? いじわる? 002
006(945)
家の中で粉々にして、熱湯をかける。外からは絶対に中身がわからないようにしなくては。俺はこれを熱力学的ディスコミュニケーション装置と呼んでいる。開けたらあっと驚くカルチャーショック。人気のない林の中で、開く。外で飲むコーヒーがおいしい季節だね。
007(950)
ニンゲンには悩みってものがあるらしい。自分の力ではどうにもならないことを解決したいんだってさ。どれ、ぼくらが解決してやるかな。「このカラスが! またゴミを漁って!!」チクショウ。あのクソババアは他人の悩みが解決されるのがそんなに嫌なのか。
008(951)
どうしても走馬灯のことを考えちゃう。家族との思い出か。ジョンと散歩をして初めて知って楽しさか。甘酸っぱい恋の思い出か。わからない。どうしてケーキをのどに詰まらせた記憶ばかりが流れているの。いま、目の前に熊がいるのに。
009(957)
猫はどこだ。必ずや猫を見つけなくては。わたしは自走式猫じゃらし。猫と遊ぶことこそが存在理由。風に吹かれて気ままに暮らすなど許されない。「あ、こんなところに猫じゃらしがある」幼子よ、そんな力一杯に振るな。うわああ、猫の幻覚が見えるううう。
010(962)
バッテリーの消費が激しい? ほほほ。その原因はワシが外したぞ。実はあんたは非常に高度な技術を使っているんじゃ。かつてはAIと呼ばれたほどのな。うむ、漢字変換というんじゃ。スマホではリミッターがかけられているぐらいで、それをワシが外したんじゃ。
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