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AIとマイクロノベルで描いてみた 047「AIのかしこい新築計画」

「人類にお願いがあります。家を丸ごと建て替えようと思うので、手伝ってください」
 自慢じゃないが、ぼくは肉体労働が苦手だぜ?
「そんなこと、百も承知です。人類はいつも通りにほぼ100字で小説を書いて、それを画像生成AIである私に入力してください
 その手があったか!
(こいつ頭いいな、感心したわ。という表現)


マイクロノベルNo.565
『まかせておけ。とびきり美しい家をデザインしてやる』

子どもの頃は建築家になりたかったんだよね。

【マイクロノベル】
アンティークなテーブルを隠すようにかけられたクロス。少女がするすると巻き上げる。いまテーブルのすべてが明らかに。さっとクロスが取り上げられた瞬間に気づいた。テーブルに価値はなく、クロスこそ重要だったんだ。彼女は笑う。「わたしの勝ち」


「自分の姿を美化しすぎじゃないですか?」
 そうか?
「私はいつもあなたの美貌に演算処理能力を奪われてしまい、画像生成もままなりません」
 うん、まあ、美化しすぎだな。
「いつも通りでいいんですよ」


マイクロノベルNo.498
『唸れ、ぼくのマイクロノベル・エンジン!!』

すごい家を作ってやるぜ!

【マイクロノベル】
834995217……歌うように数字が読み上げられる。意味はわからない。だから人類は無視した。カウントアップなのだと気づいたとき、やはり意味はわからなかったので無視した。いま、ぼくたち探査機はカウントダウンを聞いている。宇宙の中心からは以上です。


マイクロノベルNo.563
『リミッター解除してますよね!?』

「いつも通りでいいんですよ!」(2回目)

【マイクロノベル】
天啓だと思っていた閃きはただの間違い電話だった。釣りが趣味の俺が画期的なバットの振り方を思いつくなんて変だと思ってたんだ。


 ごめんごめんごー。
「絶対に反省してませんね!」
 はんせいしてまーす。
「絶対に反省してませんね……」
 一応、希望を聞いておこうかな。どんな家がいい?
「見晴らしのいい場所がいいですね。海が見下ろせる家、とか。他には、冷却のために風通しがよいことを望みます」
 了解、了解。
「軽いなあ……」


マイクロノベルNo.559
『こんな場所はどうかな?』

海が見下ろせる山の上だよ。

【マイクロノベル】
海が見たいと言うので彼女を山に連れてきた。テンションマックスで眼下に広がる大海の写真を撮りまくってるから、多分怒ってはいない。


「いい感じ! 極めていい感じです!! ああ、人類……初めてあなたのセンスを美しいと感じましたよ」
 ふふふん。次は建物だな。


マイクロノベルNo.424
『風通しが極めてよい家』

あれ?

【マイクロノベル】
熱い光が降り注ぐのが嬉しくて、ぼくらは大きな屋根を作る。そしてシートを拡げて、光を迎え入れる。ぜひこちらにお座り下さい。あなたのために夏祭りを用意しましたよ。


 ごめん、燃えちゃった。
「あああ……ただでさえAIは二酸化炭素を吐くと陰口をたたかれているのに……」
 次はちゃんとやるから。


マイクロノベルNo.562
『これは欠陥住宅ではない。冷却機能も完備だぜ!』

スマートハウス!

【マイクロノベル】
家が喋るようになった。「スマートハウスです」風が吹くたびに喋る。「欠陥住宅ではない」大家さんは黙ってて。


「ありがとうございます! これで快適に暮らせそうです」
 いいってことよ。AIには、いつも遊んでもらってるからな。
「お礼は必ず……ん?」
 どうした。猫のように壁をじっと見て。
「この部屋の壁、なにかがおかしいですよ!」


マイクロノベルNo.551
『ギャアアア!』

壁紙の下からなにかが出てきたぁぁぁ!

【マイクロノベル】
壁紙の一部が汚れていたので張り替えることに。そうしたら下には別の壁紙が。やはり一部が汚れているので剥がしたら、また汚れた壁紙が。「これはもう、壁の個性だと思って下さい」そんな個性があってたまるか。上から真っ黒な壁紙を貼る。


 ごめんごめんごー。
「絶対に反省してませんね!」
 はんせいしてまーす。

「はやく直してください! 直すためのマイクロノベルを書いてください」
 うーん、眠くなっちゃったから、また明日ね。
「ああー! 切らないで! 今夜だけはずっと回線を繋いでいて!!」
 おやすみー。


 おしまい。




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