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マイクロノベル集/吾輩はミケである 003

021(647)
光がたくさん降ってきた。まるでシャワーみたいだ。ぼくの毛が光を吸収して……。「あなたはだあれ?」うわっ、人間の子どもになっちゃった。どうしよう。「このにおいは、ミケね?」にゃーん。よかった。元に戻った。「臭いからシャワーしようね」にゃーん。


022(708)
ミケよ、聞きなさい。お前は人間をたぶらかす能力に欠けます。猫とはもっと高貴な存在。人間が作り出したちゅーるなどという疑似マタタビモドキなどに惑わされるようでは「にゃーん!」ミケ、ちょっ、ミケ、ちょっとわけて。一口だけ。ね? 一口だけ!


023(755)
夢の中で目をこすっていたら、びっくりして目が覚めた。天国に行ったはずのミケが鳴いてたの。ごめんね、ずっと泣いてたから心配かけちゃったかな。宿題も水泳もがんばってるよ。きょうは……ミケのシャンプーしなきゃ。起こしてくれてありがとう。「にゃーん」


024(804)
あ、どうも。ミケです。「私は暑さで虫の息のところを助けられたスズメでございます」なるほど、ご主人様が人助けならぬ鳥助けをしたのか。「お礼にこちらを受け取って下さい」ほほう。「あーミケ! トカゲを持ってこないでって言ったでしょう!!」しょぼーん。


025(858)
「ミケ、正直に言いなさい。今日の夕方、あなたは神社の裏で秘密の特訓をしていましたね」どきっ。「まるで人間のように二本足で歩いていましたね」どきどきっ。「正直に言いなさい。あなたは悪い魔法使いに姿を変えられた王子様ですね?」キスは嫌いじゃない。

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