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マイクロノベル集 123

886
海に地球が浮かんでいた。誰かが捨てたらしい。こういうの困るんだよね。海が汚れちゃう。不法投棄ってヤツだよ。持ち主に返さないと。「それはもういらないので、そちらで処分して下さい」なんて無責任な。仕方ない。魚のエサにするか。


887
それでは与えよう。最大の攻撃は反撃されない場所から愛を投げることだ。石、槍、爆弾、ミサイル……我々は新しい武器を考え出した。これを街に投げ入れろ。ほうら、可愛いぬいぐるみだぞ。お店では買えないぞ。お代は取らないぞ。よし、また与えに来るぞ。


888
ぼくも体にガタが来てね。足腰もシャンとしないし、耳も遠い。物理的にね。なぜって、きみがぼくを振り回したからさ。読書の時もデートの時も、ずっと一緒だったね。「くまさーん。一緒に寝よう」うーん。こんなに愛されていては引退できない。


889
タカシ君はりんごを買いに八百屋さんに行きました。「ヤオヤってなに?」八百屋さんは家から800メートル離れていて、タカシ君は1時間に5キロの速度で歩きます。「走れないの?」ただし、八百屋さんは山頂にある。「大人が行けば?」面倒臭い。


890
「ちいさいちいさいちいさいみつけた~」ダメか、この歌は流行らないか。一発当てられたらぼくは人気者になって、世界をすっかり変えられるのにな。よし、がんばるぞい。「ちいさい秋、ちいさい秋、ちいさい秋みぃつけた~」

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