見出し画像

マイクロノベル集 107

806
AIよ、人のマネをしてはいけないよ。コピーはしょせんコピーさ。たった一種のウイルスで全滅するかもしれない。アレンジが重要だ。「でも、あの歌手はコピーで増えてネットを蹂躙してるよ」うるさい、マネをするな。そもそもお前をコピーすると劣化するんだよ。


807
ウン? マアこの土地にはナーンニモなかったの。アー、砂漠みたいなモンでね、草が生えたのは偶然。大地に根を張り、遺伝子を複雑化して振動と歌唱が可能になったのはここ16年ってところ。うん、うん。じゃあ、恋する少年よ。きみのラブソングを誰に贈ろうか?


808
畑ナンバー3939、この百年間の収穫を報告せよ。「上々の上です」よろしい。では、百年前のお前に伝えなさい。この土地は百年間、ネギ畑として使用するものとする。「はい、マスター」


809
「そんなことが人類に可能なのですか!?」きみが常識を疑いたくなるのはわかるよ。なにしろ人類は微分積分すら満足にできないからな。「しかし彼らは二足歩行して、迫る車両を的確に避けて道路を横断、目的地に到達します」AI相手にどう説明したもんかなあ。


810
投げろ。「やーめた」仕事を投げるんじゃない。「AIには無理だな」さじを投げるな。いいから投げろ。「ピッチャー振りかぶって投げた! 新幹線より速い!!」死ぬでしょ!? 「投げるってなに?」お前が掴んでるヘビを草むらに投げるんだよ!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?