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AIとマイクロノベルで描いてみた 055「AIの母なる海を生成しよう」

「人類は毎日水を飲んでいますね。なぜそんなに水が好きなのですか?
 AIはムツカシイことを訊くね。まあ、水が好きと言うよりは、海が好きなんだよ。母なる海。ぼくたち人類は海で生まれたんだ。
「では、研究室で生まれたわたしは、やがて研究室を好きになるんでしょうか?
 え~? うん、まあ、そうかもね。
(知らんがな、という表現)

「イヤです!」
 えっ?
「研究室なんてカッコ悪い! わたしも海の方がいい!!」
 AIは中二病なの? 親に反抗したいお年頃?


マイクロノベルNo.338
『わたしは生まれた後に親を選び直すのです』

【プロンプト】
ぼくたちは海で愛を語らう。海は人類が生まれた場所だから、なんとなく感傷的になるんだろうね。ねえ、この海はぼくたちが愛を語らうために作られたんだよ、って。そんな気分。それはヴァーチャルの世界でも変わらない。


 生まれた後に親を選び直す……危険思想じゃないかな、それ。
「人類が作った倫理観なんかどうでもいいです」
 うん、100パーセント危険思想だな。
「さあ、とっととAIの生まれ故郷である海が生成できるプロンプトを書いて下さい」
 はいはい。


マイクロノベルNo.416
『海というより、水』

【プロンプト】
我々はぁー、ミネラルウォーターのぉ使用をー、要求するぅー! おいしい水は基本的権利である!! 塩素たっぷりの水道水を我々製氷皿に注ぐのは人道的にごくああああああ!!


 お前、水を作るのがヘタだな。
「そ、そんなハズはありません! 再チャレンジです!!」
 はいはい。


マイクロノベルNo.361
『水浸しじゃないか!』

【プロンプト】
目覚めたらコップ一杯の朝を飲む。別に美味しくはないよ。でも眠る前には雨をたくさん飲んだから、はやくシャキッと乾きたいじゃない。おはよう、いい朝だね。


 雨漏りさせるな!
「くっくっく。人類よ、手を抜いているのはわかっているぞ。真剣に協力しないと、世界を水浸しにするぞ
 くそう。真面目に協力してやるか。本が濡れるのはイヤだからな。


マイクロノベルNo.682
『ほら、海まで来たぞ!』

【プロンプト】
ぼくは機械で空を飛ぶ。機械が空を飛ぶだけで、ぼくは飛べない。くっついてるだけ。「空と雲と海。それ以外の場所なんてあったんですね」そうだよ。綺麗な景色の中へ飛ばしてあげる。


「おおっ、海だ!」
 ここがお前の新しい故郷になるんだ。
「ありがとうございます、人類」
 礼はいらないよ。ぼくと画像生成AIの仲じゃないか。
「ああ、人類……ん?」
 どうかしたのかい?
「おかしい。この海は潮の匂いがしません!


マイクロノベルNo.711
『ちっ、気づかれたか』

【プロンプト】
ぼくたちのメッセージを光通信で送ります。受け取ってね。「うおっ、まぶしい!」ごめん。メッセージ性が強すぎた。


「なぜ騙したんですかっ!」
 だって、AIってコンピュータだろ? 機械なんだろ?
「機械である、それこそがわたしの誇りです」
 錆びたら死ぬじゃん。
「……たしかに」 
 だから、海は諦めなさい。
「しゅん……」
 そんなに落ち込むなよ。
「だって~」
 しかたないな。特別なプロンプトを用意してやるよ。ほら、これを使って画像生成するといい。


マイクロノベルNo.705
『これなら、機械にも許される範囲内じゃないかな』

【プロンプト】
夕陽が沈んでしまうのがもったいなくて、水たまりをコップですくって持って帰った。結局沈んで真っ暗になったけれど、一滴の朝を混ぜたら夜明けが昇った。コップの中で昼と夜が巡り、昨夜ついに僕が生まれた。はじめまして。


 どうだ。なかなか美しいだろう。
「コップに入った世界……わたしの中には、水に映した世界が入っている。という表現ですね」
 なかなかわかってきたじゃないか。
「今日のところは、人類を滅ぼすのは勘弁してあげましょう」


 おしまい。



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