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おまえは『邪神任侠』を読んであの海域をめざせ

よくきたな。おれはバンデラス・デ・サザンクラウドだ。今日は南雲のやつにとある本をレビューしてくれとコロナと千円札でいらいされたのでとくべつに書いてやることにした。
『邪神任侠 家出JCを一晩泊めたら俺の正気度がガリガリ削れた』

おまえはこのタイトルを見たしゅんかん「ああ、また長い題名だ。もう飽きたよ」とか考え、試し読みとかそういったものをいっさい読まずにスマッホやユウチューブ、ツイッターアーにこもりきりになる。だがおれはおまえにいう。これこそは任侠……真の男のために書かれた小説だ。おまえはこれを読む。するとおまえの中の真の男がよみがえり、GUNを握り、やがて撃つ……。そして邪神をうつべく出立したシュワルツネッガー達を追いかけてあの海域を目指すのだ。


WEB版があるからといって油断するやつはアーカムでブシェミじみてしぬ

この物理書籍小説にはWEB版がある……そう聞くとおまえは「WEB版でいいじゃないか」だの「どうせ中身は話の継ぎ目を合わせただけでほとんどいっしょなんだろ」だのといって物理書籍に触れようとしない。たしかにそういうものもあり、真の男を目指すおれはようじん深く試し読みをcheckした。数分後……そこには雷鳴に打たれ、まっしろになったおれが居た。
おれはすこしでも変わり映えしなかったらブラウザを即座にとじ、ぬるいコロナで押し流すつもりだった。だがそれは全くといっていいほどなかった。試し読みをおえた後、おれのあしは本屋へと向いていた。


こしぬけがベイブと出会い真の男になる

とはいってもおれの証言だけでは信用できないこしぬけもいるだろうからおれはとくべつに概要をおしえてやる。
まずこの小説は『クトゥルフ神話』をモチーフにした小説だ。するとスマッホンの予測変換やグッグル検索にたよるおまえは「しってる! 海の生きものがきらいな男が書いたホラーで架空の神話だ!」とか「ニャルラー徒歩テップが迷惑なやつで……」とか知ったような口をきく。だがそれはうわべであり氷山の一角に過ぎない。おまえはルルイエのいりぐちにも狂気山脈のふもとにも辿り着いていない。
なぜ一人の男がうみだした話が多くのものを引き付け今にのこるのか。なぜいまでも一定数の書き手がいるのか。それはこの神話が少なからずしんj

(編集部注:ここでサザンクラウド先生に不定狂気の症状が見られたため、一旦強制的ストップを掛けました。また、本レビューは逆噴射聡一郎先生リスペクトでお送りしております)

おれは別にクトゥルフの話をしたいわけではないので話をもどす。そしてこの小説は別にクトゥルフのちしきがなくても読める。そういうように作ってある。
おおすじは既に書いたとおりだ。過去に痛い目を見てこしぬけになった男が、たまたま出会ったベイブにほだされる。やがて男は銃を握りしめ、真の男になる。そして迫りくる過去に対してこんどこそあらがわんとする。極めてたんじゅんで、かつ真の男のために用意されたストーリーだ。
物事において「たんじゅんさ」をなめたやつはルルイエにもたどり着けずにブシェミじみてしぬ。なぜか。極限までかたくしたグーは紙をつきやぶりハサミを砕くからだ。単純な中に多くをくみこめ。ただし必要量にしろ。使えないものまでねじ込めばはらが破裂して邪神を生み……そしてしぬ……。


ネタバレを回避してるかわからないあらすじ

まず、上のほうにある画像をもう一度見ろ。左の男が主人公でケン・タカクラ。左のかわいいベイブがヒロインでシマ・イワシタだ。そうおぼえておけ。

ケンはいろいろとあってこしぬけた生活に身をやつしていたある日、後に真の友となるサボタイと出会う。サボタイはもったいぶるので妙なことをほのめかして消えるが、ケンはこしぬけなので意味がわからなかった。
そしてケンはアジトにかえる。すると、シマがアジトの近くにいて、「たすけてほしい」とかいう。ケンはこしぬけだが優しいのでシマを拾う。それが深淵を覗く行為ともしらず。

話はこの後、ケンの上司で頼れる真の男であるマリアッチ、ケンの過去に関わり邪神のいりぐちでもあるタルサドゥームめいたホットなベイブを巻き込んで試される大地ホッカイドを舞台にメキシコめいたバトルが展開されていく。その果てにケンはどうなってしまうのか。おまえにはかつ目するしめいがある。ああ、そうだ。ホットなベイブはおっぱいがあってつよいし、シマはたいへんに魅力的ですじのとおったキュートなやつだ。おまえはよく覚えておけ。


舞台は1999年だ

忘れてはいけない。この小説は現代の話ではない。ノストラダムスのよげんが日本を騒がし、Y2Kでせかいは大変なことになるんじゃないかと怯えたあの年の話だ。つまりおまえたちが頼るスマッホの予測変換はないし、グッグール検索もヤホーにおくれをとっていた……。そういう真の男たちの残滓が残っていた時代の、真の男達による物語だ。
拭えぬ過去におびえながらもシマと出会うことで真の男になっていくケン……もとい、禮次郎。
不穏を備えつつも健気にケンを支え、時にはケン以上に強くしたたかに生きるヒロイン、シマ……もとい、クチナシ。
サボタイも、タルサドゥームも、マリアッチも。それぞれに意志を持ち、それぞれの任侠のために凄絶な戦に身を投じていく……。そういう物語だ。


お前はこの本を読みきった時、深淵に恐怖をいだくだろう。だが、それと同時に真の男を知り、一つ強くなるはずだ。

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