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雪上を駆け抜けるスキーヤーたち。七大戦に出場する名大スキー部

国立7大学による対抗戦「全国七大学総合体育大会(以下、七大戦)」。来夏の本格開催に先駆け、12月より冬季競技がスタートし、年末から年明けにかけて長野県で「スキー」が開催されます。昨年の七大戦、名大チームは総合2位。今年の目標は男女とも優勝して総合優勝を勝ち取ること。目前に迫った本番に向け、部員の機運も高まっています。

急激な冷え込みが日本列島を覆い、各地で豪雪となった12月下旬。名大スキー部の姿は長野県・菅平パインビークスキー場にありました。遠く見上げるスタート地点に、アリのように小さく見える選手たち。スタートとともに右、左、右…とテンポよくターンを刻み、瞬く間に目の前を通り過ぎていきます。シャーッ!シャーッ!と雪を切り小気味よく疾走する姿も、間近で見ると選手によってリズムやスピードの違いが分かり、寒さを忘れて「ずっと見ていられる」面白さです。

練習に挑む名大スキー部のメンバー

スキーシーズンに入ると週末の大半は“定宿”に泊まり込み、ゲレンデを滑り込む部員たち。主将を務める中村純さん(工学部物理工学科3年)は「多い日は午前と午後の練習で20本以上滑ります。ゲレンデがアイスバーンのように固い日は相当、脚にきます」と笑顔で答えます。
自然を相手にするスキーは、湿った雪、固い雪、荒れたバーン…と、天候やゲレンデ状態によって千差万別。中村さんは「スピードに体が遅れないよう前に出すことを意識しています。どんなときでも滑りきるために、夏は体幹を鍛えています」と準備を進めてきました。

チームのエース格、野尻優太さん(医学部保健学科4年)の目標はGS、SLともに個人優勝。「見た目には分かりませんが、雪の状態によってスキーの走り方が違うので、足の裏に体重を乗せる場所を数ミリ変えるなどして対応しています」と、繊細なポジショニングの確認に余念がありません。
女子期待の3年生、門田汐梨さん(工学部物理工学科)の目標は個人優勝。「ライバルは伊藤香凜先輩。勝ち逃げはさせません」と闘志を燃やします。「スキー競技はタイムで競うので自分の成長を感じられて面白いです。名大は大学からスキーを始める人が多いので、誰もが活躍できるチャンスがあるから気軽に入部してほしい!」と、女子の仲間を募集中です。

スキー板をメンテナンスする野尻さん

スピード勝負の「アルペン」、忍耐力・持久力勝負の「クロカン」

七大戦のスキー競技は「アルペン」「クロスカントリー」の2種目。アルペンは、傾斜のあるコースに並んだ旗門(ゲート)を通過しながら滑り降り、そのタイムを競います。七大戦はジャイアントスラローム(大回転)とスラローム(回転)の2種目で競い、ジャイアントスラローム(GS)のほうはコースの標高差とゲートの振り幅が大きく、スピード感のある滑りが特徴。スラローム(SL)はゲートの数が多く、迅速でリズミカルなターン技術が要求されます。

斜面をスピードに乗りながら滑り降りる「アルペン」
野尻優太さん(医学部保健学科4年)
門田汐梨さん(工学部物理工学科3年)
伊藤香凜さん(工学部化学生命工学科4年)

“雪上のマラソン”とも呼ばれる「クロスカントリー」は、平地や急な坂がある長距離コース(七大戦は男子10km、女子5km)の走行タイムを競います。スキー板を平行にして前後させて進む「クラシカル走法」と、スケートのように滑っていく「フリー走法」の2種類があり、滑り方により競技が異なります。

体力勝負ともいわれる“雪上のマラソン”こと「クロスカントリー」

競技未経験者の多い、名古屋大学スキー部

創部から65年を迎えた名大スキー部は、現在15人(院生1人、4年生5人、3年生3人、2年生5人、1年生1人)が所属。ほとんどの学生が入部前に競技スキーの経験はなく、大学に入ってから本格的に始めるとのこと。
実際にスキー場で練習できるのは11月~3月頃までの5ヶ月間で、今年も11月中旬から毎週末、岐阜や長野、滋賀のスキー場で練習しています。

七大戦を直前に控え、長野県の菅平スキー場でクリスマス・イブも練習

体力づくりに励むオフシーズン

オフシーズンは基礎体力向上のためにランニングや筋トレが中心。土曜日には名古屋市郊外にある矢田川の河川敷でローラースキー(スキー板の前後にタイヤが付いている器具)やインラインスケートを使った実践的な練習を行います。また、サマーゲレンデと呼ばれる夏でも練習できるスキー場で練習することも。
この時期の練習はとても大事で、工学部機械航空工学科3年の小林亜藍さん(種目:アルペン)は「オフシーズンのトレーニングは、シーズンインしたときに明確に結果となって表れる」と語ります。

インラインスケートを使ったアルペンの陸上トレーニング
クロスカントリーの陸上トレーニングはローラースキーを使用
豊田講堂前でトレーニングに励む部員たち

冬休みは雪山に籠りスキー漬けの毎日

名大スキー部は春休みの2月に約1ヶ月間の合宿を実施。期間中にインカレ(全日本学生スキー選手権大会)が開催されることもあり、スキー三昧の日々を過ごします。小林さんは「冬の合宿費用を稼ぐために、夏休みはアルバイトに明け暮れます」と、スキー中心の生活を送っています。
ほかにも、3月には関西エリアの大学を中心とした「全関西学生スキー選手権大会」や「全国学生岩岳スキー大会」が開催され、4年生はどちらかの大会を最後に引退することが多いとのこと。4年間しっかりとスキーに打ち込める環境が整っています。

スキーの七大戦は「国立十大学スキー選手権大会」

七大戦のスキー競技は「国立十大学スキー選手権大会」として開催され旧帝大の7校と東京工業大、一橋大、神戸大の3校を加えた10大学で競い合います。
七大戦の成績は旧帝大以外の3校を除いた順位で決定。各種目の上位入賞者に得点が付与され、大学ごとに得点を合計した総合得点で競います。
他の国立大学とは競技レベルが近いこともあり、毎年部員のモチベーションも高い大会なんだとか。七大戦でのスキー部の活躍に期待がかかります。

名古屋大学スキー部「七大戦」試合日程
12月28日(木)~1月3日(水)
【大会会場】野沢温泉スキー場(長野県下高井郡)

【追記】
七大戦 スキー・最終順位
(東京工業大、一橋大、神戸大を除く)
1位 北海道大学
2位 東北大学
3位 九州大学
4位 大阪大学
5位 名古屋大学
6位 京都大学
7位 東京大学

主将、中村純さんの大会終了後コメント:
「7大学中5位という悔しい結果となり、自分自身も納得のいく結果ではありませんでした。これからインカレ、全関西と重要な大会が控えています。そこに向けチーム一丸となって頑張っていきたいと思います。応援してくださった方々、ありがとうございました」

名古屋大学 スキー部 ホームページ
https://www2.jimu.nagoya-u.ac.jp/skiing/

七大戦 ホームページ
http://www.7univ-nanadaisen.jp/
※本サイトは2024年1月以降、随時更新予定

▼▽▼七大戦についての紹介記事はこちら▼▽▼

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