【追悼】坂本龍一氏が自分の葬儀のために遺したSpotifyプレイリストの曲目の69.7%がクラシック音楽だった件について考えてみた。
こんにちは、名古屋クラシック音楽堂(@nagoyaclassicca)です。今日は3月28日に71歳で亡くなった坂本龍一氏が、自らの葬儀のために作っていたというプレイリストについて書こうと思います。
僕にとって、坂本龍一という人物はYMOの電子音楽というより、クラシック音楽家でした。NHK「スコラ 坂本龍一 音楽の学校」は、音楽の授業よりも真剣に観ていた覚えがあります。
そして、先日発表されたツイートを見て驚きました。「龍一が自身の葬儀で流すために個人的に編集していたプレイリストを、彼の死去に伴い共有したいと思います。彼は最後の最後まで音楽と共にありました」
「funeral」という葬儀を意味するプレイリストは2022年6月13日に登録されています。
アルヴァ・ノト「Haloid Xerrox Copy 3 (Paris)」で始まり、フォーレ、サティ、スカルッティ、バッハ、ドビュッシー、ヘンデル、ラヴェル、武満徹などのクラシック音楽や、エンニオ・モリコーネ、ニーノ・ロータ、ジョルジュ・ドルリューによる映画音楽、ビル・エヴァンス・トリオのジャズ曲、デヴィッド・シルヴィアン「Orpheus」など33曲・約2時間半で構成されており、ローレル・ヘイローのサウンドトラック「Breath」(2020年の映画『Possessed』)が締めとなっています。
幼少よりクラシック音楽に親しんでいた坂本龍一氏らしく、このプレイリストは、クラシック音楽が33曲中23曲(69.7%)、そして自らも踏み込んだ映画音楽の世界を含めれば、33曲中じつに30曲(90.9%)を占めています。
坂本龍一氏が「人生で最も影響を受けた音楽家」としてあげている、ドビュッシーとバッハだけでも33曲中14曲(42.4%)含まれている。
大作曲家の二人の曲目を見るに、誰もが知る有名曲ではない。あからさまなレクイエムでもない。(ただし、28,29,30曲目に挙げられるJ.S.バッハのDie Kunst der Fuge BWV1080は、バッハ最晩年の作品でバッハの死後、未完成のまま出版されており、自筆譜には、バッハの息子であるC・P・E・バッハによって、「作曲者は、"BACH"の名に基く新たな主題をこのフーガに挿入したところで死に至った」と記されている)
そして、坂本龍一氏ご自身の作品が1曲も含まれていないことに驚きを隠せない。自身が音楽家として歩んだ道を、葬送の曲目に含めなかったのはなぜだろうと考えてしまいます。(下記の坂本龍一氏のプロフィール紹介の最後に坂本龍一氏自身が作曲された曲目のプレイリストもご紹介しています。)
今はただひたすらにこのプレイリストを聴きながら、この記事にたどり着いてくださったあなたと共に、坂本龍一氏に哀悼を捧げたいと思います。
坂本龍一とは?
坂本 龍一(1952年1月17日 - 2023年3月28日)は、日本の作曲家、編曲家、ピアニスト、俳優、音楽プロデューサー。東京都出身。
世界的に活動し、高い知名度も持つ日本人ミュージシャンであった。その音楽性は幅広く、クラシック音楽が根幹にあり、民俗音楽、ポピュラー音楽(特にテクノポップ)にも造詣が深かった。
10歳で東京芸術大学教授の松本民之助に師事し作曲を学び始める。なお、作曲を勉強し始めて最初に興味を持った作曲家はストラヴィンスキーであった。この頃は特にピアノが好きではなく、むしろ苦痛だったという。
14歳の頃、ドビュッシーの音楽と出会い、そこから多大な影響を受けた。自分はドビュッシーの生まれ変わりに違いないと半分信じて、サインの練習まで始めた。人生で最も影響を受けた音楽家は、ドビュッシーとバッハである。
1978年2月、細野晴臣のアルバム『はらいそ』に参加。細野の誘いにより、高橋幸宏とともに「イエロー・マジック・オーケストラ」(YMO) を結成、活動を開始する。10月、坂本初のソロアルバム『千のナイフ』をリリースし、ソロ・デビューも果たす。
1983年公開の映画『戦場のメリークリスマス』には、大島渚監督の依頼により、ヨノイ大尉役で出演し、デヴィッド・ボウイ、ビートたけしと共演。出演の条件として音楽を担当した。坂本の音楽は高く評価され、英国アカデミー賞 作曲賞を日本人として初めて受賞した。
1987年には映画『ラストエンペラー』で音楽を担当。日本人で唯一アカデミー作曲賞を受賞しており、以後も続く日本人が現れていないなど、映画音楽でも卓越した実績を誇っている。アカデミックな作風の作品が多く、愛称は「教授」。
1999年、製薬会社三共(現:第一三共ヘルスケア)リゲインのCMに用いられたピアノソロ曲「エナジー・フロー」を収録したマキシシングル「ウラBTTB」がミリオンセラーとなり、インストゥルメンタルとしては初のオリコンチャート1位を記録した。
2001年、TBS50周年特別企画番組「地雷ZERO 21世紀最初の祈り」に出演。同番組の企画において、親交のある国内外のアーティスト達を起用し、地雷除去のためのチャリティーソング「ZERO LANDMINE」を作曲、リリースした。
2009年7月16日、芸術家として文化の多様性を豊かにしたことなどが評価され、フランス政府から芸術文化勲章「オフィシエ」を授与された。
2023年3月28日、東京都内の病院で死去した。71歳没。
惜しむべき才能に哀悼の意を込めて。坂本龍一氏の音楽人生をプレイリストで振り返りたいと思います。
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