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【名大URA通信】vol.37「要するにこういうことですね、とは言わない。」

[1] 【URAコラム】要するにこういうことですね、とは言わない。

生田直子(いくた・なおこ):名古屋市出身。名古屋工業大学大学院工学研究科博士前期課程修了。特許事務所等を経て、2018年より本学着任。趣味はスポーツ観戦で、野球・バスケ・サッカーと幅広く楽しむ。バンテリンドームでは、レモンサワーを飲みながら静かに試合を観るのがスタイル。

ー生田さんは知財・技術移転部門所属ですが、特に担当している分野はありますか?

ー(生田)私は主に医学系の知財を担当しています。名大では医学部附属病院に専属の知財担当者がいるので、私は基礎研究系の知財を扱うことが多いですね。週に2回程度は鶴舞キャンパス(医学部)内の知財サテライトに来て、医局の先生や企業等と打ち合わせをしています。他に、東山キャンパスの材料やバイオ系の先生などの知財も担当しています。

ー特許事務所から大学知財に転職される方は多いですね。両者の仕事の仕方の違いは感じますか?

ー(生田)そうですね、特許事務所では特定の技術を深く掘り下げて仕事することが多かったですが、大学ではとても広い範囲の技術を扱うので、いろんなことに興味をもって勉強しないといけません。例えば最近の医療機器の知財を扱うにも、AI、音響、セラミック、力学、医薬、と、いろんな分野の知識が関わってくるので。

ーそれは大変!

ー(生田)大学では知財担当URAが特許明細書を書くわけではなく、専門の特許事務所に依頼して書いてもらいます。特許事務所に対して先生から発明をご説明いただき、それを基にどうやって特許明細書を仕上げていくかを一緒に練り上げていくことになります。

ー具体的にどういうことを?

ー(生田)例えば、技術を知財化しようとする先生の意図や研究の進捗状況などを把握して、戦略的に広めに書いてもらうようにしたり、まだ開示したくない技術には触れないなど、軌道修正をしたりします。

ー研究者である先生方にとって、知財URAは心強い相棒ですね。

ー(生田)最近「それってパクリじゃないですか?」ってドラマが放送されてたのを知ってますか? 企業の知財部が舞台のドラマで、それをみた先生方が「あれって生田さんの仕事だね!」って言ってくれることが多かったんです。弁理士が主人公のドラマってこれまでなかったので、嬉しかったですね。

ーこれからは知財の仕事や「弁理士」が、子どもたちにも身近になっていくかもしれませんね。

仕事の相棒のナマケモノ。
お腹と机の間に挟むと背筋が伸びる、猫背解消アイテムを愛用中。

ーこれまで担当した仕事で、特に印象に残っている案件ってありますか?

ー(生田)医学系知財URAとしては、医薬品が上市されることが一番の目標なんですが、治験などハードルが高いんですよね。そんな中で、具体的には話せませんが、患者さんの身になって「こうだといいな」という発想から生まれた先生の発明に、企業が共感してくれて、医療用資材や衛生品として製品化されたプロセスに携われたことは、すごく楽しかったですね。

ー特許事務所では味わえない、社会実装の場面に携われる大学知財ならではの喜びですね。 最後に、URAとして心がけていることを教えてください。

ー(生田)先生の技術について、それが知財として「イケる」とか「イケない」とか、最初に決めつけないようにしています。それと、先生の説明に対して、「それって要するにこういうことですね」とは言わないようにしています。そんなふうにまとめてしまうと、必要な情報を聞き漏らして、まちがって解釈してしまうかもしれないので。あくまで、先生に教えていただく、という姿勢を大切にしています!

ーそれはどんな場面にも必要な「聴く」姿勢ですね。私も胸に刻みます!

[2] 7月中旬~科研費事前アドバイス 申込受付開始!

科研費の採択件数や採択率向上のために、希望者を対象に実施する「科研費事前アドバイス」。本学内の科研費審査委員経験者らによる匿名アドバイザーが、希望者の研究計画調書の問題点や改良方法をアドバイスします。7月中旬から申込を受け付けます。ぜひご利用ください。
・申込期間(予定):2023年7月中旬*~8月1日(火)正午
 *公募要領公開、科研費電子申請システムの稼働開始日以降に受付開始
・対象となる種目(予定):
 基盤研究(A・B・C)、挑戦的研究(開拓・萌芽)、若手研究
・詳細:https://www.aip.nagoya-u.ac.jp/academic-research/kaken-support/advice 

[3] 学術研究・産学官連携セミナー
「産学連携の制度・環境整備状況と今後の方向性について」

機構の教職員を対象に、学術研究や産学官連携情報を提供する本セミナー。7月は、昨年度終了した「国立大学イノベーション創出環境強化事業」等の事業による産学連携の制度や環境整備状況を報告し、国際卓越研究大学で目指す産学連携の将来構想について紹介します。
・日時:2023年7月19日(水)8:45~9:15 *オンライン
・話題提供:長島 正明(名古屋大学 学術研究・産学官連携推進本部 産学協創・国際戦略部門 部門長)
・対象:東海国立大学機構所属の教職員(機構内限定)
・詳細・申込:https://www.aip.nagoya-u.ac.jp/headquarters/seminar

[4] 若手研究者育成イベント|リーダーシップ・プログラム  & 初心者向けHP作成セミナー

■ 研究者リーダーシップ・プログラム 
リーダーシップを発揮するには、⾃分を知り、⾃分と他者との違いを知り、⾃分をマネジメントする⼒も⼤切です。本プログラムでは、⾃分⾃⾝と向き合い、⾃分をマネジメントする⼿法について学びます。さらに、キャリアやライフワークバランスに関する多様な考え⽅を相互に理解し、多様性を理解することの⼤切さについても考える機会とします。
・開催時期:2023年8月~2024年3月(全7回)*オンライン
・対象:名古屋大学の研究者、世界的課題を解決する知の「開拓者」育成事業の若手研究者、40名(研修のすべて(または多く)に出席できる方)
・詳細・申込:https://www.aip.nagoya-u.ac.jp/event/17716.html*7/28〆切
・共催:名古屋大学ジェンダーダイバーシティセンター

■ PI育成セミナー「研究ポートフォリオを作る-HP作成初級者編」
研究者にとって、自身の研究活動・成果を、伝わりやすく見やすい方法で発信することは大切です。HPで研究活動・成果を伝えてみたいけどやり方が分からない初心者のみなさん、とてもシンプルにHPを作成できる「Google site」を使って、実際に使えるHPを作ってみませんか。
・日時:2023年7月18日(火)14:00~15:30 *オンライン
・講師:髙橋 将太(素粒子宇宙起源研究所 特任助教)
・対象:東海国立大学機構の若手研究者が主な対象ですが、学部生、大学院生、教職員であれば参加可能です。T-GExのアソシエートも参加可能です。
・詳細・申込:https://www.aip.nagoya-u.ac.jp/event/17317.html

[5] 名大発アカデミックフラッシュ 第24報

若手研究者による若手研究者のための「アカデミックフラッシュ」第24弾!
・日時:2023年7月25日(火)12:00~13:00 *オンライン
・発表:名古屋大学ITbM  ラオハビシット・アヌポン 特任准教授
    名古屋大学工学研究科 村手宏輔 助教
    名古屋大学高等研究院/人文学研究科 川野惠子 YLC特任助教
・対象:東海国立大学機構の若手研究者が主な対象ですが、学部生、大学院生、教職員も参加いただけます。
・詳細・申込:https://www.aip.nagoya-u.ac.jp/event/16707.html

[6] 第95回名大カフェ「法学研究者が裁判ドラマをつくるワケ」

事件が起これば朝から晩までワイドショー。でも裁判員の辞退率は60%超え。犯罪報道が盛んなのに、裁判への関心は薄い不思議な国、ニッポン。ファーストペンギン魂で法学研究をリードする宮木康博氏が、今、日本人に伝えたいこととは!?
・日時:2023年7月28日(金)18:00~19:30
・ゲスト:宮木康博(名古屋大学大学院法学研究科 教授)
・会場:名古屋大学 NIC1階 Idea Stoa
・対象:一般市民・学生など
・詳細・申込:https://www.aip.nagoya-u.ac.jp/research-information/mcafe/event95

[7] 動物の世界を覗く~何を感じて、どう行動しているのか~

1つの大きなテーマを3名の若手研究者がリレー形式で講義する、中日文化センターと名古屋大学の協力講座。今年は生物の研究者たちが登壇します。
・第1回:2023年7月21日(金)10:30~12:00
「昆虫の脳:虫から見た世界を知る」
 講師:石川由希(名古屋大学大学院理学研究科 講師)
・第2回:2023年8月18日(金)10:30~12:00
「目がないのに光る生き物たち」
 講師:別所-上原学(名古屋大学 高等研究院/理学研究科 YLC特任助教)
・第3回:2023年9月15日(金)10:30~12:00
「魚によって重要な感覚は違う? 脳部位が巨大化?」
 講師:萩尾華子(名古屋大学 高等研究院/生命農学研究科 YLC特任助教)
・詳細:https://www.aip.nagoya-u.ac.jp/event/17514.html

[8] 名大研究フロントライン★Podcast公開収録もあります★

■Podcast「素粒子宇宙円卓会議」公開収録イベント|ピラミッドを透視する。-宇宙線ミューオンで解き明かすー
・日時:2023年7月7日(金)17:00~
・ゲスト:理学研究科 森島邦博 准教授
・会場:名古屋大学 NIC Idea Stoa
・対象:名古屋大学構成員限定
・詳細・申込:https://teamkmisc.wixsite.com/home/20230707

第93回名大カフェレポート|環境学研究科 道林克禎 教授

素粒子宇宙円卓会議#9|未来材料・システム研究所 佐藤修 特任准教授

・理学研究科 石川由希 講師

↓ ☆プレスリリース連動 最新研究がもっとよくわかる!シリーズ☆

・高等研究院/理学研究科 柏野大地 特任助教 

・創薬科学研究科 布施新一郎 教授

・工学研究科 堀克敏 教授

・理学研究科 野間健太郎 准教授

最後までお目通しいただきまして、ありがとうございました!
■発 行:名古屋大学 学術研究・産学官連携推進本部
■問合せ:企画・プロジェクト推進部門 情報発信ユニット  
■メール:outreach@aip.nagoya-u.ac.jp  電話:(747)6790

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