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ちょうどいい塩梅 〜東京で一番古いおにぎり屋さんから学ぶ〜


注文したいな。と思ったら訊いてくれる。
手を洗いたいな。と思ったらアルコールを手に吹きかけに来てくれる。
食べたいな。と思ったら出来上がりおにぎりが運ばれてくる。
暑くも寒くもない店内。

何もかもが
まさにちょうどいいのだ。


浅草駅から徒歩15分ほど歩いたところにある東京で一番古いおにぎり専門店「おにぎり浅草宿六(やどろく)

お寿司屋さんのような店内でひとつひとつ店主の手で握っている。

おにぎり
沢庵
味噌汁 

のシンプルなメニューでありながら
その細かな気遣いは、味にも反映されていた。
このときいただいたおにぎりは、梅とさけ。
梅は、蜂蜜漬けの少し甘味のあるタイプだった。梅だから味が濃い。
さけは、油の乗った甘口で塩辛くは無かったが、魚の味が濃い。
その具材を白いご飯がふっくらと包んでいた。
具を引き立たせたいのか、白米に嫌な主張はなく、優しくふっくらとしている。塩は使っていないのかもしれない。その周りをさらに大きめの海苔で包まれている。

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主張が強い具材と優しい白米に包容力のある海苔、それぞれの塩梅(バランス)の良さが際立っていた。

そしてたまに店主が冗談を言う。
お店の空気の塩梅もとっている気さえした。
日常離れしたずば抜けた感動はない、ちょうどいい塩梅の「ケの食事」であった。

これからは、あらゆる場面でこの「ちょうどいい塩梅」がさらに求められると思う。

よくチェーン店には、マニュアルがあり接客のときのセリフが決められている。
だから、人を目の前にしたときにも接客=会話ではなくて、教えられたマニュアルを全うしようとする。
時と場合によって必要な言葉の量や対応は違うから、いつもマニュアル通りにやっていては「ちょうどいい塩梅」になることは難しい。

この先はさらに、決められた範囲をきちんとこなす人よりも、決められた結果にどうアプローチしようかを自ら考えられる人が求められる。

そして、そういう人柄(あえてスキルとは言わない)を纏った人を仲間に迎え入れ、その人の良さを伸ばせる経営者が生き残っていくのではないかと想像する。


シンプルな日本料理おにぎりに心を込めるおにぎり屋さんから「ちょいどいい塩梅」を教わった。