見出し画像

003|梅雨の主張と懐かしさの火曜日

昨日の初夏から一転して、そうだったそうだった。はい、そうでした。初夏を感じるにもあなたの存在なくして始まりませんよね。と認めざるを得ない湿気混じりの朝。

それでも少しだけ気分が浮き足立つのは、
ぷるんと全てを包む湿気と雨音のおかげで、
ベランダ越しに入り込んでくる向かいの工事の音も
ほんの少し鈍ってどこか別次元から響いていて、
特別自分ひとりが別の空間にいる感覚になるからかもしれない。

軽い浮遊感の中で久々に元同僚と最近一番心奪われた作品についてやりとりしながら楽しい時間を過ごしたものの、
その後に昼休みにかぶるほどにMTGが長引くと少しは気が滅入るもので、数年前にその元同僚と行ったUKアーティストのバンド時代のライブ映像で気分を上げながら昼休みを過ごすことにした。


こんなにも生々しい楽器の音だったっけ。
最近の繊細な楽曲に慣れた耳が驚く。
生々しくて鈍い音の中で、
フロントマンが持つタンバリンがまた儚い。

去年公開されたそのUKバンドのドキュメンタリー映画。
ファンが当時を懐古する中で、
若い頃に後のことを考えずにみんなで無茶をしたことがあるかないかは、後の人生に大きな影響を与える。
と言っていたことに改めて共感した。

そのUKバンドを生で見れたのは一度だけ、
学生の終わり頃、ポケットにお札だけ入れて水も持たずに文字通り無防備に参戦した。
絶対に今ほどしっかり音なんてわかっていないはずなのに、
高身長のファンに埋もれ、しっかり友達とはぐれながらも、
見上げた先にいるいつもの独特なタンバリンを持つ姿に、音に、会場の空気に、全てに飲み込まれた高揚感も思い出された。

今季初のこの湿気の膜がまだまだ新鮮で、
火曜日は絶対に外出しないOFFのテンションも相まって、(なぜなら火曜日はバールの定休日)
自分と外の繋がりを鈍らせて、今日は内に内に意識が向いているのかもしれない。
たまには内に籠もってこの時間のことだけを考えていると、外に出たい衝動を抑えてくれるこんな日もありかなと思えてくる。

そのおかげで、他のバンドと比べて、例のUKバンドはなんの愛想もなかったのも思い出してしまったけれど。

この記事が参加している募集

雨の日をたのしく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?