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句を読む―瞬間を切り取る

炬燵欲し炬燵欲しとて自転車漕ぐ

小川春休『銀の泡』

自転車を漕ぐリズム、寒い冬の日の白い息がほっ、ほっ、と切れる様子が目に浮かぶ。「炬燵欲し、炬燵欲し」という5文字の繰り返しのせいだ。
自転車でこたつを買いに行くわけではないのだろうけど(ですよね?持って帰れないもの)、今すぐこたつに入りたい身の切れるような寒さを感じる。

小川さんの、こういう日常のひとこまを描いた俳句が好きだ。「ひとこま」ってよくいうことばではあるけど、小川さんの句ほど当てはまるものもないと思う。
俳句って、本当に一瞬を切り取れるものですね。私は短歌を書くのですが、小川さんの句はなかなか短歌では表せないと思いました。

(小川さんは蕪村から俳句の道に入ったそうです)

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現代俳句・短歌を好む私が、ひとつひとつの作品を読んで思ったことをぽつぽつお話ししています。
Amazonアソシエイトリンクは、取り上げた作品が収録された句集・歌集が分かればそちらを貼っています。分からなかったときは作者に関連する書籍や、私が読んでいるアンソロジー本のリンクにしていますので、こちらもご覧ください。


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