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句を読む―夏が終わる

秋立つやジンジャーエールに透ける肘

野口る理「しやりり」

「秋立つ」、つまり立秋はもちろん秋の季語。
けれど実際には8月8日くらいだから、まだまだ暑い盛りだ。

だからこの「透ける肘」も、半袖やノースリーブで腕が出ているのだろう。
ジンジャーエールの薄い琥珀色。

現代人の感覚では、真夏の句にしてもしっくりくると思う。
だけどこれが「秋立つや」であることで、ある種の切なさが香る。

私の解釈では、主体と向かい合う女性の肘が透けているのだと思っているのですが、どうでしょう。
ノースリーブワンピースとか着ている女性が、テーブルに肘をついているところ。なんとなく村上春樹『ノルウェイの森』を連想してしまった。

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現代俳句・短歌を好む私が、ひとつひとつの作品を読んで思ったことをぽつぽつお話ししています。

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