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句を読む―敵わなかったあなた

つちふるやあざやかに騙され笑つた

佐藤文香 編『天の川銀河発電所』より
「小川楓子」

「つちふる」。何だか分かりますか?
私は今、初めて知りました。

漢字では「霾」。黄砂のことだそうです。
すごい字、雨かんむりに「貍」…これは「たぬき」。「狸」の旧字だそうです。

「あざやかに騙され笑った」は、「10回ゲーム」みたいなものに見事に引っかかって笑っちゃったパターンだろうか。
それとも相手の嘘にしばらく経ってから気づき、笑ってしまったパターンか。

どっちの解釈も好きだけど、「つちふる」つまり黄砂から、夢幻の世界・シルクロードを引き出す…のは無理やりでしょうか。

はるか遠くの夢幻を想い、あぁあなたにはやっぱり敵わないな、と笑う。
あなたも遠い存在になってしまったんだな、と実感する主体が浮かんだ。

(小川さんが参加しているアンソロジー。「どこにも属さない<ノー・ウェーブ>」って、かっこいい言葉だ)

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現代俳句・短歌を好む私が、ひとつひとつの作品を読んで思ったことをぽつぽつお話ししています。
Amazonアソシエイトリンクは、取り上げた作品が収録された句集・歌集が分かればそちらを貼っています。分からなかったときは私が読んでいるアンソロジー本のリンクにしていますので、こちらもご覧ください。


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