見出し画像

お客様の幸せな未来に想いを馳せて

去年の秋から食品メーカーさんの情報発信やファンコミュニティ作りのお手伝いをしています。

昨日は、そのメーカーさんの商品を長年愛用しているファンの方にインタビューをさせてもらい原稿にする、というお仕事をしてました。4年くらい愛用している方の声はやっぱりとても貴重で。私自身も商品について学びになったし、何よりお客様の想いが溢れていて、インタビューの時はもちろん原稿を作る時間も楽しかったです。

そういえばNAGOMI VISITでも特に初期の頃、多くの方にインタビューをさせてもらい、それを文字起こしして編集し、インタビュー記事として発信したり時には動画にして発信していたことを思い出しました。

今日はそんな過去のインタビューから得た私なりの学びを綴ろうと思います。

【目的】なぜインタビューをするのか

前回のnoteでも、サービス開始初期の頃は300人以上のユーザーと直接お話して傾聴を繰り返したということを書きました。

事業を創造するという面でもユーザーとの対話は大事ですが、それと同じくらい、実際にサービスを使ってくださったお客様の経験談を傾聴することも大切にしてきました。

インタビューする目的を私なりに整理してみると、大きく3つあると思っています。

1.集客コンテンツ
既存のお客様にインタビューをさせてもらう目的は多くの場合まずはこれだと思います。「お客様の声」として情報発信し、潜在層に訴求する目的ですね。

NAGOMI VISITの場合、運営している私達からは「外国人旅行者を自宅に招きます。一緒に手作りの家庭料理を囲んで和やかな時間を過ごします」という説明はできます。

でも、その準備のために何をするのかとか、ドキドキする気持ちとか、ゲストを駅に迎えに行って待っているときの緊張とか、自宅に招いたときに玄関で靴の置き方を説明することとか、自宅のどの部屋を見てもらおうとしたかとか、ホームビジットの後にゲストとどんなつながりができているのかとか、数年後に再会した話まで。

1つ1つの経験や気持ちはやっぱり実際に体験した人の声に勝るものはありません。

最終的には、もちろんそのコンテンツを読んだり見たりした潜在的なお客様が「自分の未来にも、こんなことが起こってほしい」と気づいて商品やサービスを使ってくださることがゴールです。

そのゴールから逆算して、どんな方にどんなエピソードを語ってもらう必要があるかをイメージしながらインタビューをし情報発信をしてきました。

あと、これはおまけというか再現性がどこまであるかはわからないのですが、インタビューのコンテンツはテレビや新聞などメディア取材にもつながりやすくなると思っています。メディアの方々もやっぱり、「人がどう変わるのか」っていう内容を求めているわけで。

狙っていたわけではありませんでしたが、NAGOMI VISITでは、初期の頃にインタビューコンテンツを意識的に発信したことが、その後に多くのメディアからお声がけいただくきっかけになっていたのではないかなと考えています。

2.価値や課題の発見
自分たちが提供している商品やサービスが、お客様にもたらしているコアな価値って何だろう?とか、お客様が本質的に解決したいと思っている課題は何だったんだろう?といった気づきを得る目的です。

お客様の実際の経験に基づいた上での意見ほど、改善の参考になるものはありません。お客様が実際に言葉にすることはもちろんだけれど、話す様子や語り口を観察することでインサイトを得ることも多いです。

3.ファン化
インタビューに協力していただくことによって、お話してくださったお客様のファン度は確実に上がります。「ファン化を狙ってインタビューする」と言ってしまうと、何だか仕組んでいるみたいですが ^^; でも、結果的にはそうなることが多いです。

逆に、ある程度のお時間を割いてもらい直接対話してインタビューしたにも関わらず、そのお客様のファン度がその後上がったと感じられなかったとしたら、きっとそのインタビュー記事自体もあまり意義ある内容にはなっていないかも。

インタビューの機会にどれだけそのお客様と距離を縮めて共感しあえたのかは、いろんな意味でバロメーターになるなぁと感じます。

長年、あくまでも私の体感として感じていたことでしたが、佐藤 尚之さんの著作「ファンベース」でも同じことが書かれていました。

サービスの良かったことやご自身の想いを改めて語っていただくことで、インタビューに答えてくださるお客様の中でも改めてそのサービスに対する愛着を認識するし、「より多くの方に知ってもらうために」っていう同じ目的意識を持って対話をすることで、良い意味で共犯者になってくださるんですね、きっと。

【方法1】お客様に会いに行ってとことんお話を聞く

インタビューと一言で言っても、いろんな形式があります。感想をテキストで送ってもらうこともできますし、アンケートを作って答えてもらうこともできます。でも直接会って話すのがベストだと思うし、それが叶わなくてもオンラインで対話をして深くお話を伺うということを大切にしてきました。

「世界中の旅人と食卓を囲むホームビジット」の場合でいうと、ホストとゲストがホームビジットを終えたあとに事務局に写真と一緒に感想を送ってもらっています。それはそれで、許可をいただければオフィシャルサイトやSNSで発信していたのですが、文字でいただく感想だと、「楽しかった」という一言にすべてが集約されてしまうのです。

でも私自身がユーザーのところに会いに言ってお話をとことん伺うと、聞けば聞くほど「楽しい」の先にある色々な経験や想いを教えていただくことができる。

もちろん、ただ準備した質問を浴びせるだけではありません。お話いただく中で「それってどういうことですか?」とどんどん掘り下げて気持ちよく語っていただけるような、聴く力を最大限に発揮するのがポイントですね。

【方法2】動画で魅せる

言葉によるインタビューとは少し違いますが、「世界中の旅人と食卓を囲むホームビジット」は動画で魅せることに向いているサービス。百聞は一見にしかずという言葉の通り、映像で伝えることにもチャレンジしていました。

2012年頃の事です。今でこそ誰でも簡単にハイクオリティの動画を撮れるスマホがあるしアプリもたくさんあるしYoutubeが市民権を得て動画発信も普通の手段になっていますが、当時はそこまで恵まれていなくて。

カメラだけは、趣味の料理写真撮影用にSONYのデジタル一眼を持っていたのでそれで撮影しました。

そして、誰を撮らせてもらうのかも一苦労でした。インタビューで語っていただくことに比べるとだいぶハードルが高いお願いです。

というのも、私達が運営しているホームビジットってユーザーが自宅で体験するものなので、一般的な観光のアクティビティと比較するとよりセンシティブ。自宅やキッチンが公開されるなんて困る、という方も多いですし、自分のつたない英語で話しているのが公開されるのも恥ずかしいから嫌、って感じる方のほうが圧倒的多数です。

でもどうしても、動画で魅せる必要がありました。

お客様であるホストとゲストが楽しんでいる様子やその雰囲気をどうしても動画という形で発信したくて、協力してくださる方をなんとか探し丁寧にコミュニケーションを取りながら実現しました。

これも、この記事のタイトルにある通り「お客様の幸せな未来に想いを馳せて」考えた結果の方法でした。

2012年当時(今もですが)動画の撮影はど素人の私でしたが、完成形をコマ割りして検討し必要な場面を割り出しておいて、当日の撮影から編集まで全て1人でやりました。

ホストが料理を準備しているところや駅に向かう少し緊張した面持ち、駅でホストとゲストが初めて出会うところ、部屋で和気あいあいと交流するところなど、途中で様々なカットもはさみつつ、撮影させてもらいました。

この動画は、その後かなり長い間オフィシャルサイトのトップページでサービスイメージとして使わせてもらっていたのですが、残念ながら今は訳あって非公開です。でもあの動画には「世界中の旅人と食卓を囲むホームビジット」を経験するとどんなことが起こるのか、っていう具体的なイメージをお客様にお伝えすることに一役も二役も買っていたと確信しています。

お客様の変化を伝える、魅せるのって大事

商品やサービスの説明よりも先に、その商品を使うとどう変化するのか、未来がどう変わるのか、っていうイメージ、つまりお客様の幸せな未来をとにかく解像度高く伝えるのってとても大事です。

そのためにまずは、商品やサービス提供者である私が、お客様の幸せな未来にどれほど想いを馳せられるのかが大事だなぁとつくづく感じています。

ジャパネットたかたの創業者、高田明さんも同じことを仰っていました。

ジャパネットたかたといえばテレビショッピング。一般的にはなかなか売れないと言われているような商品であっても、ジャパネットたかたが販売すると、メーカーに驚かれるほど売られていたそうです。

なぜか?高田さんが、伝えたいお客様を明確にイメージして、そのお客様がこの商品を使うとどんな未来が待っているのかをとことんつきつめて考えそれをとにかく丁寧に伝える、という試行錯誤を繰り返していたとの事でした。

本の中で紹介されていたビデオカメラを販売した時のお話が特に感動しました。オーディオブックで聴いたので、簡単な要約ですが少しだけ紹介しますね。

ビデオカメラを紹介する時は、こんな風に紹介しました。
「お子さんの運動会、ぜひこのビデオカメラで撮ってくださいね。そして親御さんご自身もぜひビデオにどんどん写ってください。どうしてかって?だってお子さんが大きくなった時にこのビデオを見たら、自分の幼い姿ももちろん感動するでしょうが、きっと本当に感動するのはその時のお父さんお母さんの姿ですよ。ああ、私の親もこんなに若い時があったんだ、って。」

幸せな未来に想いを馳せている感、120%!!!

お子さんのがんばる姿をビデオで残しましょう、まではきっと誰でも考えられる。けれど、「親も写ってね。なぜなら〜〜〜」については、本当に丁寧にお客様の幸せな未来を想像してはじめて出てくる説明だなぁと、つくづく感動しました。

私もこういう仕事がしたい。

***

これまでに自分がやってきたことやしごと観をマガジンにまとめて更新しています。よかったらフォローしていただけるととても励みになります!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?