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【「手」は「心の地図」】

博心堂鍼灸院の、いんちょです。

鍼灸の見立て方の一つに「脈診」というのがあります。

現在行わているのは、手首の脈をとって「脈の顔色」をうかがう方法です。


ぼくは、この「脈診」という見立て方は、鍼灸学校在学中から学んできました。

僕の通っていた学校は、本当にユニークで「易」や「占い」などの「東洋哲学」だけでなく、「漢方薬(湯液)」や「古典的な鍼灸診断方法」についても、ずいぶん多角的に学ばせていただく機会がありました。


「脈をとる」というのは、本当に重宝で、「脈」をとっている間、患者さんの顔色や表情、呼吸や姿勢など、いろいろ「ひそかに」見立てることができます。

そう、この「ひそかな見立て」というのが、患者さんの「カラダの本音」が聞き出せる大事な時間。

脈をとられている患者さんは、「脈をとられている」ことに集中されているので、傍らで脈をとる鍼灸師さんが、じつは「他も見立てている」なんて、思いもよらないわけです。


ほんとは、「脈をとる」前に、すでに「こんな脈かな」という「推量」を立ててから「脈」の状態を見ます。

「脈をとる前」に「ある程度の見立て」を組み立てておいて、「確認」という形で「脈」をとる。

あまり長い間脈をとっていても、あまり有意義な情報は手に入りません。

脈は瞬間的に変わってしまうので、顔色や姿勢、息遣いなどを見た「見立て」と「一致」「不一致」の確認程度で、「脈の見立て」を立てます。


でも、手首の脈をとるとき、「手」をじっくり見ることがあります。

「手」は「心の鏡」のようなもので、患者さんの「心理面」を素直に表していることがあります。

また、呼吸器系等や循環器系等などの「胸の働き」も現れる場所ですね。


じつは「手」をよく観察して、「見立て」を「ことば」にできるように準備しておきます。

そうすると、患者さんの「心理面」を「心の地図」として、いっしょに「手」を見ながら、状態を確認していけるわけです。


「占い」でも、「手相はよく変わる」なんてことをいいます。

「手の相」というのは「手の形」ではありません。

「相」というのは、「形」を成している「前提」のようなもの。
「手の相」にあわせて、「手の色つや」が変わり、「手の血色」が変わり、「肉付き」や「こわばり具合」、「やつれ」や「しわ」などが、時間をかけて変化しながら、現れてくるわけです。


「手の相」は、「ここ最近、どんな風に過ごしてきましたか?」という「心の地図」が刻まれています。

「可視化」されているそんな「心の地図」を、患者さんと共有しながら、生活の養生法や、心持に寄り添わせていただいたり、時にアドバイスさせていただきながら、「手の相」が「良い方へ」変わっていくのを、日々、一緒に確認していくわけです。


東洋医学の書物には、こうした「手の相の見方」について、言及しているものがありますが、ちょっとボリュームが少ないかも。

ぼくはそんな「手の相」の判断材料を、占いというフィールドから集めてきて、整合性をとって、臨床で活用できるところまで変えて、役立てています。

ほんと、ときどき、「手相占い」しながら「人生相談」もやったりしています。
とくに、最近、ね。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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