島なのに山 なぜ登るのか しまなみ海道 自転車紀行 #旅の栞
はぁ、はぁ、はぁ
木漏れ日が、きらきらとコンクリートの山道に、幾何学模様を描く。砂や小石が積もった山道、あまり人が通らないんだろう。
耳の内側から、呼吸音がこだまする。
はぁ、はぁ
急坂
自転車を押す手を緩めると、自転車が坂道を転げ落ちていく斜度。汗が額をつたう、暑いと思ったらヘルメットを被ったままだった。
◇◇
はーい! なぐなぐ一味の旅。
本日も、瀬戸内のしまなみ海道から、お送りしております。村上海賊の居城である、能島を臨む岸辺(宮窪)から、次に目指すはカレイ山。GoogleMapによると、徒歩で1時間弱の工程だ。
てっきり、『カレイ山』という案内板が、出てくると思い込んでいた。
呑気に、海沿いの道を快走しながら、景色を満喫していた。
わぁ、
キレイな場所だね~
ここも、すてき~
久しぶりの自転車で、テンションが上がり過ぎていた。
そろそろかなぁ・・
カレイ山の案内板
それは、45分を過ぎた頃だろうか、
おかしいなぁ、徒歩で1時間の道のり。自転車で45分も海沿いの道を漕いでいる。なんだか変だ。
やっぱり・・、分かれ道を見逃していた。そこまで引き返そう・・
◇◇
目指すは、カレイ山。
そう、よく考えたら
山(ヤマ)
なのだ。
今更ながら思う、
自転車で、行くべき場所なんだろうか・・
徐々に細くなるアスファルト舗装が、幅1mに満たないコンクリート舗装になり、自転車を押して登るのもキツイ、狭い道になってきた。
両手で押す自転車が、狭くて路肩に落ちそうだ。狭くなるのと同時に、ぐいーんと坂道の角度も急上昇。
そこで、冒頭の場面に戻る。
はぁ、はぁ
自転車が荷物になるような急坂だ。マウンテンバイクで山道を登ったことはあるが、今回はロードバイク・・・場違い感満載だ。
慣れない自転車で使った筋肉が、今度は登山で悲鳴を上げる。
はぁ、はぁ・・・
◇◇◇
ひゃっほー!!
と、叫ぶ気力もなかった。
助かった・・・
12時半には、到着すると思っていたカレイ山。
迷いに迷って、登りに登って、気づいたら14時であった。
じゃーん
命の源、「鯛めし」と「レモンじゃこ天」
こんなこと(?)もあろうかと、今治駅で購入済であったのだ。昼食難民は、避けられた。
そして、食後のデザート、同じく今治駅で購入した、ご存知の八幡饅頭
格別のうまさである。八幡饅頭さま!生き返ったのだ。
そうなのだ、もともとの予定は、すべて自転車ではなく、船でショートカットする予定。総距離20kmくらいのコースを、のんびり回る予定であった。ところが、往路で既に20kmを超える道のり。
太陽は真上から、徐々に西に傾きかけている頃合いであった。
さぁ! 帰るべ!
びーるびーる
帰り道は、無心であった。
絶景にも琴線は動かず、ひたすら漕ぐ。
ビールが、オイラを待っている。
ふくらはぎに痛みを感じる左脚を温存。
右脚に力を入れる。
右脚に力を入れる度、(ビール)と脳内でつぶやく
右脚 ぐい (ビール)
みぎぐい (ビール)
みぎ (ビール)
徐々にペースが上がってきた!
みぎ、ひだり、みぎ、ひだり ビール、ビール
びーる!びーる!
ビールと饅頭のチカラは偉大だ。
なんとか、駅前のホテルまで戻ってきた。
うぇーい
改めて思う。
心の余裕が無ければ、写真は撮れない。
つらい山道の写真は、ほぼ無い(笑)
ホテルにとうちゃーく
今治で凄いのは、サイクリストの聖地を名乗るだけあって、ホテルのロビーにも部屋にも、自転車を置く場所が用意されていることだ。
自転車を立掛ける。
明日も頼むぞ、相棒たち!
さっそく部屋に戻り、
ひとっ風呂浴び、出動だ!
バリの街へ
次回は、今治の居酒屋からお送りしまーす。
お楽しみに
(つづく…)
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