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ワインが似る理由、似ない理由。そこから見出すべきこと。

複数の生産者が一同に介する比較的規模の大きい試飲会に参加することが年に数回あります。こうした試飲会は効率よく複数の生産者と会って話しながら彼ら、彼女らのワインを試せることが最大のメリットですが、もう1つの大きなメリットがあります。1つの生産地域に集中して複数のワインを短時間にほぼ同じ環境下で横断的に試すことで、その地域の特徴を理解しやすい点です。

ある生産地域の特徴を知る。これはそこに共通している特徴を読み取ることです。当たり前のように思われていますが、実際に同じ生産地域で造られたワインには多くの共通点があります。多くのワインが根底では不思議なほどに似通っている一方で、それぞれのワインにはまったく別物と思うに足るだけの違いも同時にあります。こうした類似や相違がどこから生まれているのか、ワインの世界では割と安易に判断されているこの点に今こそもう一度、造り手は思いを巡らせなければならないような気がしています。

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