濾過する炉火#3

現在、レジデンスに向けて招聘パフォーマーと2週間に一回くらいのペースで打ち合わせ中です。

滞在期間と成果発表としての公演日は決まったので、現在は滞在中の稽古場所を探していたり、補助金申請のための書類作成中。

あとは招聘するお二人(招聘するのは舞踏家と舞踊家のユニットグループです)の過去作品をみたり、空間のイメージを掴むために他のパフォーマーの作品を見たり。ただ舞踏家、舞踊家のお二人と一緒に作品をつくるにあたってガチガチに作り込まれている舞台作品を見るのは違う気がしてきて、今はゲリラ的に行われたファッションショーや、踊らずに踊って成り立っているような空間をひたすら見る。最初は量を見ないとそもそも話が始まらないと思っています。

空いた時間はイメージビジュアルをぽちぽちと収集しています。良い方向に引っ張ってくれることも多いので、頼りすぎず、固めすぎないよう気をつけながら、頭が止まってきたらpinterestを見る。

また、今回の招聘者とのコミュニケーションの取り方は逆濾過器イメージしています。通常の濾過器は不純物を取り除きますが、その逆を目指しています。

通常の濾過器

前回のレジデンスではとにかくお互いの認識をすり合わせることを意識していました。
滞在前の1ヶ月半前から、作家と最近見た展示についての感想、そこから派生したあれこれをGoogle documentでやりとりしていました(最終的に約25000字ほどだった)。
直近のお互いの考えや身近に向けている意識、価値観が混ざった期間だったと思います。

そして今回、私とお相手の3人はあくまで個々の役割を担った状態で、混ざらずに独立しつつも、一緒に作品を作れたらなーと思います。いや、作れたらなーというか作れるのか?という感じです。この辺はあくまでイメージ。

なので超濃縮されたきたねー水を出すにあたり、最初の濾過役は私に任せてもらったので、前回の打ち合わせでは私の脳内をテキストでお見せしました。

打ち合わせ資料の一部🧠

不在の存在

お二人の過去作品から読み取れる二元論や両義性についてぽやぽやと考えていると、次第に10代の頃から頭にある「不在の存在」というワードが強調され始めました。

そういえば中学生の時に、大好きな小説家の作品にでてくる「不在が存在よりも濃い気配を作る」という一文にやられてしまって以来、自分が惹かれる作品や人間、景色には「不在」「喪失」の要素が含まれている気がします。
目の前にあるものよりも、かつて在ったけど今はもう無いものの方が信頼できる。(ので、私が一番今の私を信じていない。)

そんなようなことを考えつつ、現段階ではお二人を場の〈不在〉を映す媒体として使用したいと思い始めています。これをお伝えしたら「難しい宿題を出してくるね」と笑われました。

次の打ち合わせでは具体的な演出プランの話に入るのかなー、もしくはまっさらに戻るのかなー、告知もしなきゃなー、そのためには仮でも告知用のビジュアルを作らないとなー、…という感じで全然時間がないです。
多分毎回同じこと言っていますが、これも記録。

ナギサウラスタッフ・スミカ


以下、今回実施するレジデンスの成果発表の概要です。
〈濾過する炉火〉の読者は、この場を見にくることで読了するのではないかと思います。来てね!

開催日:2024年5月18日(土)
開催場所:静岡県熱海市渚町付近
開催時間・公演スケジュール共に未定

渚の縁日のイベント時間中に最低一回は公演予定です。