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私は、“わたしエクスプレス”の運転手

あなたは、電車の運転手。

“わたしエクスプレス”の運転手。



人生、という長いレールの上を

終点につくまで

ずっと走らせている。




幼い頃は親が隣で

一緒に運転してくれていた。



だけど今は、

ひとり運転席に座って



どの道を走るか

どんなスピードで走るか

どこの駅に停まるかさえも

自分が思うままに

運転できる。



停まる駅によって

乗ってくるお客さんも違う。



そして、そのお客さんが

どの駅で降りるかは

自分にはわからない。



出会うタイミングも

別れるタイミングも

お客さん次第ということ。



この電車を愛してくれる人は

たくさんいるんだけど



大好きだから

何度も乗ってくれるひともいれば



写真を撮りに

駅に来るだけの人もいる。



誰かが撮った写真を

家で眺めている人もいる。



乗ってくれるお客さんだけが

自分のファン、というわけじゃない。



“わたしエクスプレス”に

乗ったり、降りたり、

撮ったり、眺めたり、

関わってくれる人はたくさんいるけれど



その人たちを

コントロールすることはできない



自分が決められるのは、

どのレールを走るのか

どんな速さで走るのか

それだけ。



本当はもっと乗っていて欲しい

お客さんがいたとしても



自分が選んだレールや駅が

その人の目的地だったとしたら、

その人は降りてしまうかもしれない。



だけどそれは

自分のせいでもないし

その人が“わたしエクスプレス”を

嫌いになったからでもない。



ただ、降りるタイミングだっただけ。



そこでかける言葉は

「何で降りるんですか!?」じゃない。



「ここまでご乗車くださり、

ありがとうございました。」

であるべきだ。



降りて行く人、

その電車に乗ったことを忘れてしまう人にも

“乗ってくれてありがとう”と

言える運転手でありたい。



乗れないけれど、大好きだよ!って

思ってくれる人にも

“応援ありがとう”って

言える運転手でありたい。



そして、

自分がこの“わたしエクスプレス”を

自分で運転できていることにも

感謝を忘れない運転手でありたい。


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