見出し画像

アブダクション(仮説的推論)を使い、自分の考えを豊かにする

いつも、何気なく考えていることも、凄いことだとおもうだろう。

・アブダクションとは?

理解できない物事の原因を仮説を立てて推論することです。アブダクションはアメリカの哲学者パースが初めて提唱しました。

「観察された事象について、その理由を説明するための仮の理論を考えること」

「アブダクション」は、現象に対して納得が最もいくような推論を当てはめて考えるような方法です。
そのため、「アブダクション」では、現象を観察するスキルにプラスして、観察する人のひらめきや想像力なども重要視されます。

最も論理の拡張性が高い探究的な思考法として注目を浴びています。

・学術的なアブダクション

仮説推論(アブダクション)は、前提条件(A)が、その帰結(B)から推論されることを可能にする。つまりアブダクションは、前提条件を観察して いなくても、それが起こったことを容認する。これを、後件肯定(Affirming the consequent)という。
後件肯定は次のように命題化できる。
「もしPならば、Qである。Qである。したがってPである」

これは、P=Qの場合のみ可能で、P以外でもQを導くものがあれば、QからPを導くことには限界がある。したがって、後件肯定は、論理的には形 式的誤謬である。ラテン語では、post hoc ergo propter hoc (事後的におこったことを、前の現象がおこったことが前提となりおこったと解釈すること[の誤り])ともいう。

・帰納法とアブダクションは何が違うのか?

帰納法もアブダクションも、実際に観察した事象から思考を進める推論法ですが、両者には違いがあります。帰納法が「観察事象と同じ事象を他の場面においても推論すること」であるのに対し、アブダクションは「観察事象とは異なる種類の何かを推論すること」であり、時には目に見えない物事を推論することもあるという点です。

上記の例で言えば、帰納法によって「すべてのものが落下する」という結論を導くことができますが、「物体の間には引力が働いているのではないか」といった思考には、物事を観察し分類するだけでは行き着きません。その事象を「説明しようとする」プロセスがあることで、「物体の間には引力が働いているのではないか」などの仮の理論を生み出すことができる(生み出しやすくする)という訳です。

・具体例

アブダクションでは、目の前で起きている事象からもっとも妥当だと考えられる推論をします。たとえば、以下のことが起こっていたとします。

道端で子供が泣いている。横には子供用の自転車が倒れている。
ここから考えられる、もっとも妥当な推論は「子供が泣いているのは、自転車から落ちて怪我をしたからだ」というものです。

しかし、アブダクションでは推論は仮説でしかなく、本当に合っているとは限らないので注意が必要です。

たとえば、上の例では本当は子供が泣いているのは「お母さんに置いていかれて不安になったから」かもしれません。

・アブダクションの鍛え方

画像4

画像2

画像3

画像5

アブダクションは【法則の当てはめ】を入れ替えることで多様な仮説を立てることができる思考フレームワークだ。しかし逆を言えば、アブダクションで多様な仮説を立てられるかどうかは、あなたの頭の中にある「法則の多さ」にかかっているともいえる。

精度の高い仮説を立てられる人は、ほぼ例外なく日々の経験から「●●なときは××が起こりやすい」という「法則」を自分の頭の中にストックしている。そのため1(=起こった現象)を聞いた際には、頭の中にある様々な法則を当てはめ、瞬時に10(=仮説)を導き出すことができる。

もしあなたがアブダクションを通して優れた仮説を立てたいなら、あらゆる経験を「消費して」終わらせるのではなく、洞察力やアナロジーを駆使して「経験から法則を見出してストックする」習慣を身につけよう。

・参考文献


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?