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正常とは何か?  映画【カッコーの巣の上で】を観て

酷暑がしつこく続く中
日々本当にお疲れ様です。

精神疾患を描いた映画としては古典ともいえる1975年の古い映画ですが
『カッコーの巣の上で』を初めて観てみました。


あらすじ
刑務所の強制労働から逃れるため精神異常を装い、精神病院に入ったマクマーフィは、絶対的な管理体制をしくラチェット婦長のやり方に反発を覚える。マクマーフィは、管理されることに慣れ、無気力になっていた入院患者たちに生きる希望と活力を与えようとするが……。

映画.comより

感想

半世紀近く前の映画ということもあり
ちょっと今とは違う感覚や
腑に落ちないところもいくつかあるにせよ
1975年のアカデミー賞五冠を獲得したというだけ
のことはありかなり考えさせられる映画でした。
特に精神疾患を患う今となってはです。
レビューはなかなか賛否がはっきり別れていましたが、うつ病になる前の自分が観ていたら果たしてこれほどの感動が出来たかどうか。

刑務所を逃れて精神疾患を装い
精神病院に入ってきた若い頃のジャックニコルソンの演技力はさすがの圧巻の存在感で、主演男優賞を獲得しているのも納得です。

しかし、私としてはそのジャックニコルソン以上に凄まじい演技力だなと思ったのは
精神病院の婦長役であるルイーズ・フレッチャー
です。この映画で共にアカデミー賞主演女優賞を獲得しています。
演技だということが信じられない程
これほどまでに人は人に冷酷な表情が出来るのか
という戦慄が走る凄まじさでした

血が通っているとは思えない表情を常にしています

物語終盤にて、婦長が患者をどこまでも追い詰め
惨劇が起きてしまいます。そのことに逆上した
マクマーフィーに首を締められるシーンがあるのですが、とても演技だとは思えず、本当に殺されかけているのか⁉と本当に心配になるほどでした。

また、恐ろしいのは
この婦長はあくまでも己の職務に忠実なだけで
特に悪意はありませんし、故意に意地悪をしようとはしていないところです。
そこが数多の悪役とは違うところかと。
自分の正義を疑うことなく突き進む狂気ほど
怖いものはないなと思いました。
NetFlix でこの婦長を描いたドラマが最近出たようです。

刑務所を逃れて精神病院に入ってきた
マクマーフィー(ジャックニコルソン)は
明るく破天荒で、周りの精神疾患の患者達と
自由を求めて色々とやらかします。
そのあたりは観ていても楽しく爽やかで
まるで『ショーシャンクの空に』を
思わせるほどです☺

それだけに…

多くの方に観て頂きたい映画なので
あまりネタバレなことは書きたくないのですが

強いて言えば
『ショーシャンクの空に』
の対になる映画かと…

本当に色々と考えさせられる映画でした。

正常とは 病気とは

この映画を観て一番思ったのは
正常とは何なのか、ということです

この映画で一番投げかけてきたテーマは
まさにそこなのではないかと解釈しています。
婦長達はまさに、自分達こそが正常という
顔をして患者達を悪意もなくいたぶります。

これは映画ですが
こうしたことが現実にいくらでも起きてないでしょうか。

うつ病や精神疾患になった人達を
そこまで追い込んだ連中は、正常なのでしょうか?

人を心ない言葉で傷つけて自覚すらない人達は
正常なのでしょうか?

人を傷つけて平気な人間たちは正常なのではなく余程そちらの方が異常だと思います。
正常なのではなく、ただ多数派と言われている中にいるだけで。

言葉に傷つけられた体験

私は幸い特に会社がブラックで、とか特定の誰かのせいで、という理由でうつ病を発症したわけではありませんが、それでも色々と心ない言葉はかけられることはありました。

復職初日に
「うつ病て治らないんじゃないの?」
とニヤつきながら言ってきた人もいました😢

休職前には仲良くしていた部署の人たちに
復職後無視され、無断でグループラインから追い出されたこともありました😢

「お前は一生寝たきりで過ごすんだな」
とか
「お前が死んでも俺は泣かない」
とまでわざわざ言ってきた男もいました😭

そういう人たちが果たして正常といえるの
でしょうか?

こんな自然もない、不自然な都会で
毎日満員電車に押し潰されて毎日毎日働いて
心ない言葉かけられて

心身が疲れてしまう人の方が余程
人間らしくて正常なのでは?

そういうことを考えさせられる映画でした

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