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小説「ラブアフェアー・レポート」

【あらすじ】
ある高層マンションの一室で、殺された男とそこで立ち尽くしている女が発見された。
捜査官の飯塚マヤは二人についての資料を読み、問題の女、穂苅ミオンの尋問を始める。
その殺人に隠されていたものとは? これは男女の愛憎を巡るミステリ短編。

【備考】
・本作はノベルアップ+で開催されている冬の5題マラソン第五週の応募作品です。
・コンテスト期間終了後に非公開になる場合があります。

【データ】
文字数:約4000字
バージョン:v1.0.0
公開日:2023.1.28
更新日:2023.1.28

【リンク】
ノベルアップ+

【作品冒頭】

 夜の街の明かりが星のように見下ろせる、そんな高層の一室だった。テーブルには二つのワイングラスと半分ほどを食べ終えたディナーが二セット、その脇のソファには男物と女物のコートが投げ出されるようにして掛けられていた。姿見のような大きなガラス窓は、けれど何も映していない。
 奥のドアが僅かに開いていた。その隙間から微かに耳障りな笑い声が漏れ出ている。
 そこは寝室だった。二人が手を広げて横になっても充分に包み込んでくれる大きなサイズのベッドの上には、半裸の男性が一人、横たわっている。その男性を前にして、小刻みに肩を揺らして立つ女がいた。笑い声の主は彼女だ。
「何をしているの?」
 女に向けてライトを照らすと、その口元は真っ赤に濡れていた。彼女はにちゃりと口角を上げ、こう答えた――彼の味がする――と。

小説「ラブアフェアー・レポート」より

#小説 #短編 #男女 #事件 #ミステリ #血

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