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小説「ウソウソの森」
【あらすじ】
あるところに、とても仲の良い兄妹がいた。妹のクレールは兄を愛していたが、血の繋がった兄妹で結婚することは禁じられていた。
しかしクレールは友人から、禁断の森に入れば何でも本当が嘘になってしまうと聞く。
そこである夜、クレールは兄を連れ出し、その森へと入るのだった。
【備考】
・本作品はショートショートコンテスト「嘘」応募作品です。
・コンテスト期間終了後、非公開になる場合があります。
【データ】
文字数:約2000字
バージョン:v1.0.0
公開日:2022.9.19
更新日:2022.9.19
【作品冒頭】
お兄様。
クレールはそっと部屋に忍び込み、そう呼びかける。窓からの月明かりは白く整った寝顔を闇に浮かび上がらせ、その造形美をまるで彼女に独り占めしてもいいのだよと囁きかけているようだ。
その亜麻色の髪が、僅かに目元に掛かっている。彼女は痩せた指でそれを持ち上げ、露わになった額にそっと秘密の口づけをした。
――お兄様は私の本当の気持ちを知らない。
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