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猫が来て、9ヶ月と2週間

ジャクソン・ギャラクシーの「猫ヘルパー」という番組を初めて知った。

アニマルプラネットの人気長寿番組らしい。猫を飼いながら深刻な問題を抱えている人たちに、猫の専門家であるジャクソン・ギャラクシーがアドバイスを行い、解決に導いていくお助け番組。大好きな「クィア・アイ」は、イケてるゲイ五人組がさまざまな事情を抱えたアメリカ人たちのルックスと内面、ライフスタイル改善をお手伝いする番組だったが、こちらは猫の困り事解決版。一般人のお悩みをスペシャリストが解決してあげるというこのフォーマット、アメリカでは定番なんだな。

ジャクソン・ギャラクシーという人物のビジュアルがかなりインパクト強めである。でっぷりと大柄なボールドヘアの男性で、両腕に刺青ぎっしり、お髭も立派。毎回オープンカーで颯爽と現れ、なぜか大きなギターケースから猫じゃらしやしつけ用スプレーなどのアイテムを取り出す。番組は、特に何の特徴もないふっつーのアメリカ家庭を訪れ、猫の問題行動を改善させるだけのかなり地味な映像が続くのだが、ギャラクシー氏の癖の強い見た目によって、ちょっと華やぐというか、画面がテレビ番組っぽくなる。ギターケースは演出過多だろ、と突っ込みたくなったが、ギャラクシー氏の語り口は至って穏やかで冷静。確かな洞察力で解決の糸口を見抜き、突飛なアドバイスはせず飼い主に的確な指示を出し、たった2週間ほどで理想の状態に向かわせてしまうのだ。飼い主に向かって牙を剥きシャーシャー威嚇していた猫や、怯えきってトイレに閉じこもったまま絶対に外に出てこなかった猫が、初めて出会ったギャラクシー氏に心を開き、あっという間に擦り寄っていくのはまるで魔法を見るよう。

猫という動物は女性的なもの、猫をペットにしたがるのは女性、猫が好きな男はなよっとしている。そんなジェンダー規範が欧米にはあるらしい。「猫と、とうさん」という映画の紹介を目にした際に知った情報だ。(とても観たくて、まだ観られていないのだけど。)この映画は、猫を愛し、猫と生活している男性たちのドキュメンタリーらしい。ちょうど猫と暮らし始めて、猫コンテンツを漁っていた時期に目に止まった。ふーん、面白そうね、くらいにしか思ってなかったのだが、欧米にあるという根強い猫にまつわるジェンダー規範のことを知って、興味が強まった。映画に登場する人物も、消防士さんや配管工事士さんなど「男性らしい」職業の方にフィーチャーしているようだ。屈強で、男前なやつだって、猫が大好きなんだぜ!ということか。

日本では、そこまで猫に関するジェンダー規範を感じたことはなかったが、まあ、犬は男、猫は女、というイメージは納得感がある。例えば、飼い主との主従関係を好む点や、朝晩の散歩や外での運動を要する元気はつらつなイメージなど、犬の特徴って確かに男性性と結び付けやすいし、家の中で大人しくしているとか、人間の指示に従わず躾にくいイメージ、しなやかな身のこなしとその美しさが、猫って女性性と結び付けられがちよね、とは思う。それ以前に、本邦では、食事や排泄の世話を焼いたり、その可愛らしさを愛でたり、家庭内で動物を飼育すること自体が、「世話(ケア)」や「育てる」「愛情」などのキーワードを想起させ、犬猫問わず、女性(お母さん)の方が得意なこと、みたいに思われてそうな気もする。私自身、猫を飼い始めた楽しさを他人に話した際「母性が湧いてきたんですねー」とコメントされて、モヤモヤしたなぁ。保護犬を飼育されている坂上忍さんや猫おじさんことサンシャイン池崎さんなんかも人気者だけど、ちょっとギャップ萌え、ありそう。

話が脱線したが、つまり、ジャクソン・ギャラクシー氏の番組の人気は、女の子っぽい領域にある猫ちゃんに関して、ヒゲ坊主、刺青のむくつけき大男が、超一流に詳しい!という意外性にもあるのかしら、と考察。

でもそれだけじゃない!毎回披露される彼の猫に生態に関する深い知識は、猫飼い初心者には非常に役に立つ内容ばかり。高い位置から見下ろすことは、猫の安心と自信につながるとか、スキンシップは猫のペースと好みに合わせるべきとか、正しいやり方をすれば躾も可能とか。まだ3話くらいしか観てないけど、これはコンプリートしたくなる。ちょこちょこ観ていこう。ギャラクシー氏は書籍も出しているようだから、こちらも買って読んでみようかな。


ちゃんと猫の習性を勉強するのは良いことです。励めよ


悪そうな顔
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