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逃げて手にいれる幸せ

新卒で入社した会社は美術館やレストランや
フランチャイズのカフェを経営している会社だった。

新入社員はカフェの各店舗に配属される。
そこで店舗運営を学び早くて1年後にマネージャーに昇格する。

エリアマネージャーになりたい?
美術館の運営の仕事がしたい?

私はどの仕事もピンと来ないし、やりたいこともなかった。

本音を言うと専業主婦になりたかった。
取り敢えず正社員で就職して2.3年働いて寿退社したい。
配属された店舗で先輩のいう事だけをしていればいい。
ミスなく仕事をして2.3年が過ぎたら
付き合っていた彼と結婚しようと思っていた。

就職難の中、正社員で働くのが最優先。
そう考えてしまうのも300万の奨学金と言う名の借金があるから。
本当はこの会社ではなくて別の会社で働きたかった。

そんな考えだから、仕事に対して全くやる気が無かった。

人間関係もあまり深入りせず上っ面だけ仲良くしていればいいや。
支給されたマニュアルに、業務中の私語は慎みましょう、とあった。
やっぱり、それでいいんだ・・・
会社は友だちを作るところではない、仕事をするところだから。

業務上必要最低限の会話はするけれど
アルバイトさんたちの会話に自分から入ろうとはしなかった。
話さないということは、私はあなたに興味がありませーん、と
言っているようなもの。

その結果何が起こると思う?

・・・孤立です・・・

先輩は私に「マニュアルには私語は慎むとあるけれど
従業員同士がお喋りもしないギスギスした雰囲気の店に誰が来たいと思う?
適度なお喋りはやっぱり必要なの」と指導してくれた。

それから、先輩に叱られたときに
「あなたはどう思うの?」と言われても自分の考えを言わずに黙り込んだ。
「もう、あなたは何を考えているのか分からない。
答えないという事は仕事を放棄しているのと同じことなの!」
と更に怒られた。

でも、何度注意されても直せなかった。
直せないのではない、直さないのだ。
どんだけ頑固なんだよ。
カッコ悪い。

ある時、アルバイトの大学生がシフト表を見て
「あーあ、一緒なのか・・・」と呟いているのを目撃してしまった。
私は一緒に仕事をしたくない人、そう思われているんだ。

その頃から、順調に来ていた生理が止まった。
仕事から帰って、風邪でもないのに38℃くらい熱が出るようになった。

ストレスだ・・・
でも、そのストレスの原因を作っているのも自分。

ある日、先輩にまた怒られた。
そしてまた黙り込んだ。
先輩は「もう知りません、明日から来なくてもいいです」と突き放した。

本当に次の日から行かなくなった。

全て自分に原因がある。
奨学金があるからと、希望の会社にチャレンジしなかったのも
ここでいいやと、妥協して入社したのも
やる気も見いだせなかったのも
自分を変える気もなかったのも
ぜーんぶ、自分が原因だ。

分かっていたのに、全てに目を瞑った。
私が悪いんじゃない、周りのせいだ、私は悪くない。

そして逃げたんだ、嫌なことや面倒なこと全てから逃げだんだ・・・

全部が全部当てはまる訳ではないけれど
ブラックな会社しか選べない自分の実力不足を棚に上げて
お世話になった会社に後足で砂をかけるように
セクハラがパワハラが、、と訴訟を起こし
少額の示談金を得て憂さ晴らしをしている人もいる。

自分にも非があるのを認めない限り、ずっとそれを続けるのだろう。
逃げるのをやめないと、キャリアもスキルも見に付かない。
いつまで経っても根無し草だ・・・

私は結婚に逃げたんだ。
結婚したいって、逆ポロポーズしたのだから。

社会人一年目での結婚は最初は双方の親に反対された。
でも、最終的にはお互いに好き同士ならやっていける。
ふたりを信じようと認めてくれた。

逃げた先で、身に余る程の幸せを手にいれることが出来た。
経済的に安定した生活、可愛い子ども、マイホーム
やりがいもあり人間関係も良好な職場。

生きていれば、それなりに嫌なこともあるけれど
結婚して約22年間は特に困ったことも無かった。
私は周りの人に恵まれている。
私は幸せ。幸せ過ぎて、たまに怖くなる。

それなのに、人生のピンチだ!というのは
自分で自分の首を絞めているだけ。
幸せに感謝できないと、必ず罰が当たる。

このお話しの続きは、また後ほど・・・










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