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45歳、もう一度恋をしてみました⑦

元々あった休講日と
先生の体調不良での休講が続いたから半月程会っていない。

仕事中でも、家事をしていても、何をしていても
レッスン中に交わした何気ない会話や
仕草や笑顔を思い出して、会いたい、とため息が出る。

一度、好きだと認めてしまうと途端に気持ちが抑えられなくなる。
会いたくて、会いたくて、居ても立っても居られなくなる。

少しでも、先生に触れたくてインスタで先生の名前を検索する。
この行為はストーカーだと言われてしまうのだろうか?

中高生の頃はスマホも、もちろんSNSも無かったから
偶然を装って帰り道で待ち伏せしたり
携帯も無いから家の固定電話にかけたり
今なら、絶対にストーカーだ!と言われることやっていた。
まさか、大人になってもあの頃と同じことをしているなんて・・・

先生のインスタは直ぐに見つかった。
ライブの画像がたくさん投稿されていた。
先生の知らない一面を覗いてしまった様で少し複雑な気持ち。
そして、ドキドキしながらフォローの文字をタップした。

インスタを閉じてスマホをリビングのテーブルに置いた。
ピアノと壁の隙間からパッドを取り出す。
先生の手書きの譜面を見ながら練習を始めた。

一週間後のレッスンまで、ひとりでひたすら練習した。
先生は「ちゃんと練習したね、出来るじゃん!」と言ってくれるから。
その優しい笑顔と言葉が頑張る理由なのかもしれない。

待ちに待ったレッスンの日。
「こんにちは」と教室に入るなり

「先生、体調はもう大丈夫ですか?コロナって聞きました。
熱出たり大変でしたよね。あまり無理しないでくださいね」

「ご迷惑をおかけしてすみなせん。
熱はそんなに出なかったかな、ごめんね、お休みにしちゃって」

「でも、良かったです、元気そうで・・・」

そう言ったら、涙が溢れてきそうになり先生に背を向けて指で涙を拭った。

「どうしたの?大丈夫?」

先生が心配したのに、大丈夫です、と頷いた。
私の気持ち、分かっちゃったかな。。。

「出来たね!一気に進んだ」

先生が椅子から立ち上がって②のところに赤ペンで〇を書いた。

先生の顔がすぐそこにあって、あと20㎝手を伸ばせば触れられる距離。
少し日に焼けた頬っぺたをそっと撫でてみたい。。。
「先生、大好きって抱き付いちゃえば?」
加藤くんの言葉を思い出しドキッとする。

「先生?」

声がちょっとだけ震える。
今なら、出来る、大丈夫、と自分に言い聞かせる。

「はい?どうしたの?」

先生は笑顔で私の顔を覗き込んだ。











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