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ロシアによる黒海の封鎖と16億人の食料危機??

ロシアとウクライナの問題がさらに世界を巻きこみ始めています。
それはロシアによる黒海の封鎖です。
10日ウクライナ軍によるとロシア軍がさらに潜水艦1隻の配備、巡航ミサイル40発の準備があるという情報が出ました。

ニュースは下記です。


黒海の封鎖と食料危機ってどんな関係があるの?

ウクライナの農作物について


黒海と食料問題、一見すると問題はつながっていないように見えます。
そのためまず順を追ってウクライナ事情についてまとめていきます。
ウクライナは小麦やトウモロコシなどの農作物の生産が盛んです。
農作物の輸出は主要輸出品目の1位となっており、
輸出品目の全体の50%を占めるほどです。
輸出先はアジア、アフリカ、ヨーロッパとなり、「世界の食糧庫」になりつつあります。
「欧州の食糧庫」とも呼ばれています。

黒海封鎖によりウクライナからの輸出ルートが消失?

次にウクライナのルートについてです。
ウクライナからの輸出ルートは南部オデッサ港から船が出て、トルコのボスポラス海峡を通って全世界へ輸出するルートです。
以前グローバル社会ではルートの確保がすごく大切というお話をしました。
このトルコのボスポラス海峡はチョークポイントに分類されています。
地政学的にはチョークポイントを押さえる事で輸送ルート全体を確保できるというお話でしたが、今回はこのボスポラスに入る前の黒海をロシアが封鎖してしまっているためそのチョークポイントを通って農作物が輸送できないのです。
現在2000万トン以上の穀物が輸出できず、ウクライナ国内に滞留してしまっています。
そのため、ウクライナの農作物に食料を頼っていた色々な国で食料を調達できず、穀物不足、価格の高騰につながっているのです。

実際、国連は8日に「穀物価格の上昇など、94カ国の16億人が影響を受けている」と報告書を公表。グテレス事務総長も「前例のない飢餓と貧困の波を引き起こす恐れがある」と表明しています。
さらに世界食糧計画(WFP)は「ウクライナ穀物の貯蔵庫は満杯であり、世界中で4400万人が餓死に近づいている」とも言っています。

ルート封鎖の歴史的な一例


今回のような海上ルートの封鎖は第二次世界大戦時にもありました。
第二次世界大戦の日米戦争の時に、アメリカは日本のルートを封鎖して日米戦争を勝利しました。
代表的にはガダルカナル島での攻防戦です。
当時アメリカは日本からの輸送船を攻撃し、日本は大規模な輸送が出来なくなってしまいました。そのため少ない補給しかできず少数の逐次投入を断続的に行わざるを得なくなりました。大規模な投入ができていれば勝てていたかもしれませんが、結果日米戦争で日本はアメリカに負けてしまいました。
このように海上封鎖、ルートの封鎖はとても効果的な戦略ではあります。

世界での対応は??


現在G7サミットでは代替えルートを検討中です。
陸送をしてルーマニアの港から出てボスポラス海峡を通って輸出ルートを検討しています。
EUでもウクライナの穀物を鉄道などでルーマニアへ運ぶ取り組みをしています。
実務面でウクライナはEU加盟していないため国境での詰め替えなどの必要があるようでそういった対応をしています。

まとめ


グローバル社会においてルートの確保はとても大切になりますが、このルート確保の大切さを今回でさらに見せつけられました。
さらに世界経済は今かなり密接につながっているため、二国間だけではなくこのルート確保が全世界に影響を与えるというのが今回の大きな問題点となっています。
世界中が今回の問題に危機意識、問題解決に動いている状況です。

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