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ピエール瀧、坂上忍、イエスマンに囲まれた芸能人と孤独と薬物

 ピエール瀧がコカインで捕まった。

 思えば電気グルーヴでも自分で曲を書くわけでもなく、DJをやるわけでもなく、ただパフォーマーとしているだけで様になるという、音楽シーンでも稀有な存在だった。

  ゆえに「佇まいだけで人を感動させる才能」を買われて俳優やCMタレントにも引っ張りだこになり傍から見たら大成功してるようで、本人は不本意で心の内に大きな葛藤があり孤独で苦しくなりコカインに頼ってしまったのかもしれない。

  イエスマンが多くて、自分の才能を認めてくれる人ばかりが周りにいる状況を皆憧れているのかもしれないが、そうなると自分の欠点を直言したり、腹を割って話せる親友もいなくなる。裸の王様である。

 ピエール瀧は、例えばコネや親の七光りではなく自分の実力で高い地位を得て成功したけれども、それ故に自分に言い訳ができなくなって常に孤独に苛まれていたのかもしれない。

   似たような芸能人が坂上忍で、彼も実力で低視聴率に喘いでいたバイキングという番組を建て直し、テレビ界を代表する司会者になったのだが、やはり周りをイエスマンに囲まれ、不安で毎回収録の前には酒を飲まないとやっていけないらしい。

   テレビのワイドショーの司会者は、視聴者に嫌われないように品性と常識を備えた穏やかな人間が重宝されていたのを、坂上忍は敢えて司会で悪役を演じて視聴者に嫌われながらも、実はテレビのワイドショーの視聴者は品行方正でも何でもなく、悪意や覗き見趣味や嫉妬心を持っていると確信して彼らの合わせ鏡としてブラウン管の中にいる、という芸当をやってのけている。

  それが坂上忍の才能で、テレビ界で異論がないから、彼もまた孤独に苦しみ酒に溺れている。

   人は自分が意図する以上に周りから持ち上げられると不安になる動物で、それが人気商売の芸能界だとますますそうだと思う。

   で、その持ち上げられた評価を薬物は地獄へ落とす。因果応報かもしれないけど残酷な世界だし、サラリーマンはどうか分からないけど自営業やフリーターなんかはここまで他人に持ち上げられた後地獄に落ちるような人生も想像できない。

  世間って残酷だし、世間がないと芸能界は成り立たない。夢と切なさが表裏一体の何とも切ない世界である。

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