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旅の話.42 カイロ①

1999年7月から半年間の予定で旅に出た。23歳の時だ。
今回はエジプト、イスラエル、ギリシャ、イタリアを経て最後はロンドンの予定だ。オーストラリアで得た経験と、英語力があれば、まあ何とかなるだろうって感じで出発した。

カイロ

日本との時差は-6時間。すごく暑いと思っていたが、朝だから案外涼しかった。空港から街までバスが出ている事は知っているが……困った。
文字も数字も全く読めない
タクシーの客引きが次から次へとやって来て、街までいくらだなんだと勝手にプレゼンして来るが、バスより安い訳がないと思い、全て断った。
空港の警備員に聞いてみた。
「あそこで待て。No,949のバスに乗れ」と教えてもらった。

しばらく待っても全然バスは来ない。
ちゃんと伝わっていたんだろうか?信じていいんだろうか?すごく不安だ。
そんな時、No,950のバスが来た。
待つのに飽きていたし、数字1つ違うだけなら近くまでは行くだろう。
僕が行きたいラムセス中央駅は、地図で見る限りすごく大きいので、近くまで行ければ何とかなるだろう。と思った。

考えが甘かった。
走っても走っても、どこがどこで何が何だかさっぱりわからない。
そして、バスはほとんど止まらない。乗りたい人や降りたい人は、運転手に合図を出す。減速して徐行中に客は飛び乗ったり飛び降りたりする。
猛ダッシュで飛びついてくるおじいさんもいた。
すぐに超満員になった。これじゃあ一番奥に座っている大きなバックパックを持った僕は、途中で降りたくても降りられない。
あきらめて終点まで乗る事にした。
路地では大量のゴミの山に大量のヤギがいた。街角の生ごみ処理場か。
建物はボロボロで埃っぽく、とにかく人が多かった。
馬に乗っている人がいて、よく見たら片足がなかった。

バスが終点に着いた。
みんな降りたので、僕も降りられた。
現在位置の確認をするも、やっぱりさっぱりわからない。
そこへ、同じバスに乗っていたと言う、2人の若者が声をかけてくれた。
「そこの地下鉄に乗って2駅目で降りればすぐだよ」と、教えてくれた。
ありがとう。助かった。

地下鉄も超満員だった。
教えてもらったムバラク駅で降りて地上に出た。
目の前にどーんと、ラムセス中央駅が現れると期待していたが、実際はやっぱりさっぱりわからなかった。
地図を見て、あの高架道路の向こう側にあるっぽいとわかった。
道路には、信号機も横断歩道もない。
みんなタイミングをみて、うまく渡っている。

そして、ようやくラムセス中央駅に着いた。
ここまでこんなに苦労するとは思ってもみなかった。
ここのアハマッド・ヘルミ・バスターミナルが本当の目的地だ。
探すが、やっぱりさっぱりわからない。
近くにいた警備員のような兵士のような人に聞いてみた。
教えてもらった場所へ行くと“CIAO HOTEL”があった。

ここはバスターミナルを兼ねたホテルなのだろうか、それともここの人に聞けって事なんだろうか。もう訳がわからない。

つづく

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