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移住者が感じる長崎の好きなところ(1/4)

 長崎に移住して、2年が過ぎた。今、私は長崎の斜面地で暮らしている。元々は、長崎の歴史と文化の面白さ・奥深さに心惹かれて移り住んだ。ただ、実際に暮らしてみると、住んでみて初めて分かるような魅力を、たくさん発見した。今では、すっかり長崎にハマっている。

 時々、長崎が好きすぎて定期的に叫びたくなる衝動に襲われるので、冷静になるために「なんで好きなのか」「どんなところに惹かれるのか」先日、書き出してみた。

今回は、上記tweetの一つ一つの長崎推しポイントを紹介してみようと思う。

「共生」のストーリーが数多く存在する

長崎の港

 長崎は、長い国際交流の歴史のある都市である。この港町は、今から450年前、ポルトガルとの貿易(南蛮貿易)のために、新しく造られた。それ以降、この場所には、ポルトガル・中国・オランダ・イギリス・ロシア・アメリカ・フランス...と海外から多くの人が集まり、それと同時に、海外から来る、人、知識、技術を求めて、日本国内、それこそ色んな "お国" からも人が集った。

 つまり長崎は、様々な場所から集った、異なる文化・価値観を持つ者たちが、(時にいざこざはありつつも)平和に、共生した都市なのである。私は、このまちの底流に流れる国際交流・多文化共生の文脈に、とても惹かれている。

 加えて、長崎にしばらく住んでみると、多文化共生以外の「共生」の文脈がこのまちに存在していることに気がついた。それは、「人と自然の共生」(自然の恵みと災害 / 人と猫との共生)であったり、「過去と未来の共生」(歴史資産・文化財をどう後世に残すか、どのように新しい価値を生むのか)であったり、「世代間の共生」(進む少子高齢化・取り残される高齢者)であったりする。長崎は「共生」を考えるには、なかなかに示唆を与えてくれる場所であるように思う。

歴史資産の多さ

浦上天主堂

 長崎の歴史は、大きく4つのストーリーによって構成されている。

  • 国際交流史

  • 明治維新と日本の近代化(*世界文化遺産)

  • 潜伏キリシタン(*世界文化遺産)

  • 原爆と復興

 この一つ一つが厚みあるストーリーなのだが、上記3つのストーリーが最終的には「原爆と復興」に収斂し、1つの大きなストーリーを構成するところも奥深いのである。なお、上記のうち、2つは世界遺産にも認定されている(「明治日本の産業革命遺産」「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」)。それぞれのストーリーに関しては、以前Youtubeで語ったので、詳細はそちらに譲ることにする。

多文化が混じり合う街並み

 国際色豊かな長崎の文化は、和風の「和」、中華風の「華」、オランダ広くはヨーロッパの「蘭」を合わせて、「和華蘭文化」と呼ばれる。長崎には、そんな和華蘭を感じられる街並みが今なお残っている。

「和」の諏訪神社。「おすわさん」の愛称で親しまれる長崎の総氏神さま。
「華」の崇福寺。唐寺。長崎三ヶ寺の一つ。
「蘭」の南山手・祈念坂の風景。風情ある石畳の階段が続く小道。
祈りの三角ゾーン

 多文化入り混じる、祈りの三角ゾーン。左から、日本の宗教・神道の鳥居、キリスト教の教会、仏教のお寺、と3つの異なる宗教施設が、ご近所さんで立ち並ぶ。多文化共生のまち長崎を象徴するような場所。

長崎のお墓でお馴染みの土神様

 ちなみに、寺の中のお墓には「土神様」の碑が建っている。長崎のお墓でお馴染みの「土神様」は、中国の道教や民間信仰がルーツだそう。したがって、祈りの三角ゾーンでは、3つどころか、4つの宗教要素が入り混じる面白さ。様々な文化が入り混じる独特な長崎の景観は、本当に面白い。ただ、古き良き長崎固有の趣のある街並みが、徐々に失われつつあるのも事実である。大切にしていきたいと強く思う。

過去と現在の繋がりが感じられる

出島表門橋

 長崎は、歴史の一大舞台だったこともあり、昔の様子を今に伝える、絵や古写真が多く残っている。また(失われてしまっているものも多いが)当時のまま残る歴史資産や文化財も存在する。なお、上の写真は、現在の出島表門橋の写真で、下は昔の出島の絵である。

昔の出島

 普段生活している場所や、近所の観光地の昔の絵や写真を見たりするたびに、「昔はこんな感じだったんだな」とか「今とそんな変わらないな」とか「昔の人も、長崎のあの行事を楽しんでたのかな」とか、しみじみと感慨に耽ってしまう。昔に親近感を持ったせいなのか、歴史上の出来事・あれこれも、そんなに遠い昔じゃないような感覚を覚えるようになった。江戸時代とか、ついこの間だな〜的な。また「昔と今が地続きになっている感覚」も強く覚えた。彼らと自分が繋がっている、ような。

 長崎は、歴史資産や文化財や街並み、そして当時の面影を今に伝える豊富な絵や古写真などが相まって、過去と現在の繋がりを強く想起させてくれる土地だと思う。

(斜面地での)暮らしが五感で心地よい

斜面地から見る朝焼け
名も知らぬ花

 長崎の斜面地暮らしが心地よいということは、住んでみて初めて分かった。しかも五感を圧倒的に揺さぶってくるのだ。

  • 視覚:斜面地の上から見える長崎の空、山、街並み。夜景は圧巻

  • 聴覚:鳥の鳴き声、風のそよぐ音、船の汽笛、教会や寺の鐘

  • 嗅覚:草花の香り。特に秋の金木犀

  • 味覚:食べ物がうまい!

  • 触覚:斜面地を吹き抜ける風(ちょっと無理やり?笑)

移住して2年経つけれども、いまだにこの豊かな暮らしに、毎日感動している。

次回に続く


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