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日本の漁業が崩壊するのを防ぎたい(執筆後記)

私は、ここ最近の水産資源管理の方法をめぐる動向を本当に危惧しています。下手をすると、日本人がこれまで食べてきた美味しい魚を自らで食べられなくする、そのようなことが起こってしまうのではないかとさえ思います。

さて、この度、ふるさとニュースマガジン「カラふる」にて下記の記事を担当し、公開となりました。

毎年ノドグロを楽しむために海を休ませる。資源を守る漁法とは?
https://colorfuru.jp/business/9297

この記事で言いたいポイントは、

1.日本では江戸時代以前から伝統的に魚の資源のことを考えて漁業を行っている

2.欧米と日本の漁業は違い、これからの魚の資源管理も日本の実情に合ったものとしていかなければいけない

3.このことを多くの人に関心を持って欲しい

ということです。


そもそもこの記事を書くきっかけとなったのは、最近、温暖化等による気候や環境の変動も大きく、やたらと魚が獲れなくなっている状況に対し、根拠もなく「漁師が魚を獲りすぎているせいだ!」という人たちが一定数いるからです。

また、それに続いて、「欧米の漁業が儲かっているのは、資源管理の方法が良いからだ。」と、これも安易にいう方がいますが、欧米の漁業と日本の漁業は、状況が全く異なります。

すごく大雑把にいうと、欧米の漁業は扱う魚種が限られており、かつ大規模になされるものが多くあります。こういった状況では、その限られた魚種の資源量をお金を掛けてでも正確に計測し、漁獲量を調整する方法や、お金を掛けて認証を取得するという方法が合致します。つまりは、大企業のやり方なのです。

しかし、日本の漁業は小規模な事業者が多く、様々な魚種を扱っています。その数十~数百にも及ぶ魚種の様々な資源の塊の量をすべて計測し、漁獲量を調整するというのは、コスト高となり非効率です。また、お金のかかる認証を取得するというやり方も同様。

世間一般に大企業と中小零細企業の仕事の進め方や事業の最適化はそのプロセスが異なりますが、漁業においても同じです。

日本では、昔から禁漁期を設けたり、漁法に制限を設けて獲る量を調整したり、漁具に工夫をして狙ったもの以外は獲らないようにしたり、といった方法で資源のことを考えてきました。

今もその方法がベストというわけではなく、やり方は常に見直していかないといけないでしょう。そのために、欧米的なやり方を参考にし、一部取り入れるというのであれば良いと思います。

しかし、日本の先人たちが元々行ってきたことを丸っきり無視をして、実情に合わない仕組みを取り入れるというのは、日本の漁業を崩壊に追いやる行いだと思います。

このことにまずは警笛を鳴らして、ベストなやり方をみんなで考えていくことが大切だと思います。多くの方にまずは関心をもっていただけたらありがたく思います。

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