『ひなんくんれん』多和田葉子ー読書メモ#7

『ひなんくんれん』多和田葉子 新潮2024年6月号
純文学度:65
キャラ:1
テーマ:2
コンセプト:4
展開:4
文体:4

なんとも不思議なお話で、ユーモアに溢れた小説。
学校の教室で避難訓練が行われていると見せかけて、実は本当に事件が起きているっぽいんだけど、どうにも要領が掴めないと思っていたら、やっぱ避難訓練だったっていう。
この小説に解釈を加えるのって、自分の見た夢に何らかの意味を見出そうとするような行為だと思うんだけど、なんかこじつけることできないかな笑

少なくとも、読了直後の頭ではいいアイデアが思いつかなかったので、気になったことだけメモ。
まず、タイトルの『ひなんくんれん』が何を意味するか。
主人公の先生は、最後「避難訓練は終わりました」って言われてるので、何らかの避難訓練を受けてたのは確かなんだけど、何から避難する訓練だったんかな。
よくわからない難癖をつけられてたし、タイトルがひらがな表記だから「非難訓練」かとも思ったけど、最後の表記は避難訓練だから、やっぱ何かから避難してるんだよな。
主人公の夢というか無意識的なとこにアクセスしてるっぽいから、過去の罪とか罪悪感とかそっち系かなと今のところは予想。
てなると、主人公の頭が痛むところがキーになりそうね。

後気になったのは、擬音のローマ字表記か。
最初は、避難が必要な状況という非日常が作り出す音だから、普段聞こえる擬音とは違く聞こえて、だからローマ字表記にしてるのかなと考えたんですが、最後まで読むと学校の教室という場所が主人公にとっての日常かどうかも怪しい感じになってますからね。
そもそも、日本語表記の「ぐらぐら」とローマ字表記の「guragura」でどういった違いがでるのか。
その辺の研究もおもしろそうですね。

とりあえず、深堀できそうなのはこの辺か。
もうちょっと頭の中で寝かせて、なんか良い感じの解釈できればいいな、とぼんやり考えています。

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