『バリ山行』松永K三蔵ー読書メモ#17

『バリ山行』松永K三蔵 群像3月号
純文学度:45
キャラ:4
テーマ:5
コンセプト:2
展開:3
文体:1

「バリ山行」っていう、あえて正規のルートから外れて登山するっていう方法を教えられた主人公が、社会における「正規ルート」にも疑いを持つようになるという話。
主人公が敷かれたレールを走っているという事実に気づき、それに対してリアクションをする、っていう構成の物語はある意味鉄板なんだけど、その気づきに使うモチーフがバリ山行っていうのは新しいか。
バリ山行っていうモチーフとテーマの関係性もストレートだし、女鹿っていう主人公に新たな道を教える賢者役もわかりやすいキャラをしているので、純文学というよりかはエンタメ小説っぽい読み心地だった。

基本的には、山と街の対比っていう構造を念頭に読んでいけば、無限に語れることが出てきそう。
無限はさすがに盛りすぎか。
まあ、そこは色んな人が語るだろうし、後で読み直せばいくらでも切り口は見つかるだろうから、今回のメモはちょっと別の角度から。
長良、一時期スピリチュアルにはまってたことがあるんですけど、その分野ではよく知られた現象に「好転反応」ってのがあるんですね。
これは何かっていうと、今のだめな習慣を見直して新しいステージに入る時は、メンタルや身体が不調になる、っていう現象のことを言います。
なんで新しいことを始めたら体調が悪くなるのかっていうと、人間にはできるだけ今の習慣を維持しようとする「恒常性」という機能が備わっているからだそうです。
まあ、言ってしまえば五月病とかと同じ類ですね。
でまあ、この小説の主人公も1回目のバリ山行の後に肺炎にかかったりして、見事に好転反応引き起こしてるなーと思ったっていう、ただそれだけなんですけどね笑
ただ、こういった分析ができるということは、たぶんこの小説は精神分析的な解釈も可能なはずなんですね。
ちょっと、あの領域難しくて今の長良では到底使いこなせませんが...
山と街の対比というわかりやすい構図にプラスして、精神分析的解釈を施してみるとおもしろくなりそうだな!と言うのが、この小説読み終えたばかりの、長良の無責任な感想でした。
誰かやってみてくれ笑

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