見出し画像

橙・走・心 〜J3 10年目の挑戦①〜

AC長野パルセイロ 2023選手名鑑①

AC長野パルセイロを応援する
とある学生の独断と偏見による2023AC長野パルセイロ選手名鑑。

「昨季こんなプレーしてたな」「今季はここに期待したい」
そんな目線で。

何より私自身が選手の名前と特徴を
シーズン前に一致させるためのメモでもある。

矢田貝 壮貴 Souki Yatagai

 2023シーズンから背番号1を背負うことになった、GK陣最年長リーダー。2023年で25歳を迎える大卒3年目のシーズンである。この年齢でGK陣最年長というスカッド構成は、Jリーグ全体を見渡しても珍しいのではないだろうか。
 特徴は鉄壁とも呼べるシュートストップ。本人も長所としてシュートストップを挙げており、試合を重ねるごとに安定感が増加していることを感じさせる。
 昨季は開幕戦で先発GKの座を掴んだが、第2節の試合途中で足首を負傷し、戦線離脱を余儀なくされた。GK陣の負傷が相次いだこの時期にスクランブルの形で大内が加入すると、スタメンの座を明け渡す時期が続いた。シュートストップやコーチングの面で大きな差が見られなかったことを踏まえると、決定的な差はビルドアップへの貢献度。大内はシュタルフスタイルを経験している強みもあり、足元に抜群の安定感があった。昨季のスタイルを構築するには、GKのビルドアップにおける貢献は欠かせず、その点での差がお互いの立ち位置を分けたのではないだろうか。
 今季は大内が移籍したこともあり、GKの中では出場時間が最も長くなることが予測される。今季のスタイルが昨季と比較して大きな転換がないことは、既にシュタルフ監督のコメントなどから推測できる。彼がどれだけビルドアップで貢献できるかは彼自身の出場時間はもちろん、チームの浮沈にも関わるだろう。

秋山 拓也 Takuya Akiyama

 2023シーズンで長野在籍3年目を迎える守備の要。今季は「ORANGE大使」なる制度の"Never Give Up"担当に選ばれ、キャプテンも務めることになった。
 特徴は空中戦の強さとビルドアップ能力だろう。昨季は、高さに強みを持つJ3FWの面々を封殺する活躍を見せた。
 昨季の序盤は、池ヶ谷-喜岡コンビの牙城を崩せず、ベンチに座る試合が多かった。しかし、夏場に守備的MFとして宮阪の相棒を任されると新境地で覚醒の片鱗を見せた。長野の中盤になかった対空性能を見せ、中盤の底として活躍が期待された。しかし、夏の移籍市場で喜岡が山形に引き抜かれると、定位置を一列下げたCBに活躍の場を移す。終盤のアウェイ愛媛戦で負傷し、フルシーズン通した稼働とはならなかったが、最終節には復帰して活躍の姿を見せた。
 今季は、大野・西田・鈴木・佐古とフレッシュなCB人材が加わり、ポジション争いは激化しているはずだ。昨季、池ヶ谷-秋山コンビ時期に見られた、被カウンター局面の脆さを克服し、チームの柱として活躍することが求められる。

船橋 勇真 Yuma Funabashi

 2023シーズンで在籍2年目を迎える生粋のサッカー小僧。そして、シュタルフチルドレンの一人である。
 特徴は、右サイドを切り裂く縦への推進力。YS横浜時代から特徴ははっきりしており、彼がいるかいないかで右サイドの攻撃の厚みが変わるほどの活躍を見せていた。
 昨季はシーズン通して、怪我に悩まされた1年間だったのではないだろうか。序盤でハムストリングを負傷すると、夏場に一度復帰したものの、逆足のハムストリングを負傷。戦線に継続して関われない期間が続いた。
 彼の不在は、チームにとって大きな損害であり、川田が怪我で出遅れた序盤は、RSBの最適解を見つけるのに時間を要した。最終的には中盤を務める佐藤や原田が担うことになったが、4バックを構築するにはやや物足りない印象を受けた。
 今季は完全状態で右サイドを駆け上がる彼の姿が、シーズンを通して見られることを期待したい。また、同ポジションとして考えられる音泉とのスタメン争いはJ3でも屈指の豪華さだろう。チーム内競争を勝ち抜き、レベルアップした活躍を見られるだろうか。

池ヶ谷 颯斗 Hayato Ikegaya

 2023シーズンで在籍2年目を迎えるシュタルフチルドレンの一人。
 特徴は、ビルドアップ能力の高さ。稀に自信からくるミスなのか、自陣深い位置で奪われることもあるが、基本的なビルドアップをそつなくこなす印象が強い。
 昨季は全試合に出場し、シーズンを通して長野のDFラインを支え続けた。出場時間という数字にしか現れていないかもしれないが、彼の貢献度は計り知れない。どんなシステムであっても激しいデュエルを求め、DFラインから確実なビルドアップを志向するシュタルフスタイルにおいて、ファウルトラブルも怪我もなく戦い切ったことは、もっと称賛されるべき功績だろう。
 今季もシーズンを通した試合での活躍を期待したい。また、秋山の項でも述べたが、昨季と比較してCBの選手層は格段に厚くなった。チーム内競争が激化する中でも、定位置を掴み取り、長野の守備ラインを安定させる活躍が見たい。また、被カウンターリスク管理における成長が見られるかにも注目し、スピードに優れるJ3FWらを予測の力で封殺することができるか期待したい。
 詳しいことはシーズンが始まってからだが、新境地に挑戦している姿も見られた。先日行われていた御殿場キャンプで、どれほど練度が上がったかも楽しみにしたい。

西村 恭史 Yasufumi Nishimura

 2023シーズン、清水より期限付移籍にて加入した大型ボランチ。2シーズン連続でギラヴァンツ北九州にて出場経験があり、上位カテゴリーの厳しさも知る期待の若手である。
 特徴は、基礎技術の高さと空中戦の強さ。空中戦の強さに関しては、185cmの身長を活かし、中盤の底を務めることが多い日本人プレーヤーとしては異例の特徴をもつ。また、高校卒業と同時に清水に入団するほど将来を嘱望された選手であり、揺るぎない足元の技術の高さを兼ね備える。強さと巧さを兼ね備えたボランチだと言えるだろう。
 昨季はギラヴァンツ北九州でJ3リーグ27試合に出場。4-4-2のダブルボランチの一角として起用されることが多かった。クラブが発表した補強方針の「J3で実績を残した選手」という項目がピッタリと合う補強の1人と言えるだろう。
 今季、シュタルフ監督がどのような戦術を選択するか、まだわからない部分も多いが、昨季から考えると中盤の底は1枚のみの配置になる可能性が高い。これを考慮すると、絶対的司令塔の宮阪やシュタルフチルドレンの佐藤、活躍著しい丹羽らとの激しいポジション争いが想定される。こうした仲間かつライバルとの競争を勝ち抜き、チームを勝利に導くプレーメイクを期待したい。

大野 佑哉 Yuya Ohno

 2023シーズン、松本から加入した広範囲のカバーエリアを持つCB。正式に言えば、松本からの契約満了が発表された流れでの長野移籍なので、禁断の移籍というには語弊があるかもしれない。
 特徴は、スピードを活かした広い守備範囲。ビルドアップ面で見せるやや不安定な側面も含めて、昨季在籍していた喜岡を想定すれば、プレースタイルはなんとなく掴めるだろう。昨季後半戦の長野に不足していたカバーエリアの広いCBを獲得できたことは非常に大きな戦力アップと言える。
 昨季は、松本でJ3リーグ31試合に出場。ほぼフル稼働と言っても過言ではないほどの実績を持つCBである。西村と同様に、「J3で実績を残した選手」として補強対象に上がった一人だろう。シュタルフサッカーとの親和性からすると、攻撃面でやや不安が残る側面もあるが、秋山や池ヶ谷にはない特徴を持つ貴重なCB人材である。
 今季は、3バックや4バックのRCBとして出場することが予想されるが、シュタルフスタイルが求めるCB像をどれだけ体現できるかが、出場時間に影響してくるだろう。今季も引き続き松本とは同カテゴリーであり、この移籍先を決定するには相当な覚悟が必要だったはずだ。間違いなくアルウィンでの特大ブーイングは避けられない。しかし、それだけの覚悟を持って、活躍の場所に長野を選んだ選手に期待できないわけがない。

近藤 貴司 Takashi Kondo

 2023シーズン、愛媛から加入した前線のスペシャリスト。大野と同様に、クラブから契約満了が発表された時は、個人昇格が予想されたが、結果的に同カテゴリーへの移籍となった。
 特徴は、攻撃局面におけるユーティリティ性とアジリティ。狭い局面であっても、個人の質で打開が可能な選手である。前線であれば、どのポジションでも高いクオリティでこなせるが、シュタルフスタイルにおいて、どのような活躍を見せるだろうか。
 昨季は、愛媛でJ3リーグ29試合に出場し、4ゴール8アシストと数字上でも一定以上の成果を残した。重ねての言及になるが、大野や西村と同様に「J3で実績を残した選手」として補強対象に上がったことが予想される。年齢からすると「コストを抑えて」には当てはまらないが、間違いなくクオリティの高い選手の補強ができたと感じる。
 今季は、御殿場キャンプにおけるTRMで、早速、数字として結果を残してみせた。個人的に近藤の起用ポジションは、意外なものであったが、シュタルフ監督らしい個性を伸ばす起用法に思えた。TRMだけでなく、シーズン通して得点に関わり続ける活躍を期待したい。

藤森 亮志 Ryoji Fujimori

 2023シーズン、在籍4年目となる長野の大砲。今季からNo.9を背負い、クラブやサポーターからの期待値の膨らみを一層感じる立ち位置になった。
 特徴は、ロングスローと破壊力満点の左足。ジャニーズ顔負けの甘いマスクだが、ゴールを狙う視線はまさにライオン。投入によって、試合状況を一変させる能力を持ち合わせていると言える。
 昨季は、シーズンが進むにつれて徐々に試合出場を掴み取って行った印象。持ち味のドリブルやシュートを活かせるWGやIHに加え、ビルドアップや守備での貢献が求められるSB/WBも経験した。本人としては難しい挑戦だったように感じるが、この挑戦で掴んだ経験は非常に大きいのではないだろうか。攻撃的な選手として、サポーターの心を鷲掴みにするゴールを繰り返し生み、No.9を継承するに相応しい活躍だったと言える。
 今季は、昨季に比べてより一層の奮起が求められるシーズンになるだろう。WGとして起用される可能性が高いメンバーを見ると、近藤・小西・三田・森川・音泉・安東・青木と特徴がはっきりした選手が揃っている。この競争を勝ち抜くのは、簡単なことではなく昨季よりも厳しいかもしれない。しかし、No.9はストライカーとしての、点取り役としての活躍が求められての番号であるはずだ。出場機会を確保し、得点という形で活躍に期待したい。

山中 麗央 Reo Yamanaka

 2023シーズン、在籍2年目にして長野のNo.10を受け継いだ生粋の長野のライオン。クラブやサポーターからの期待値の大きさは計り知れない。
 特徴は、シュートセンスと得点への嗅覚。ゴールが生まれそうな場所に入り込み、自身でも明言するストロングポイントのシュートで得点を奪う。
 昨季は、拓殖大から加入し、育ったクラブで獅子奮迅の活躍を見せてくれた。デビュー戦こそ、ホームいわき戦で0-4と悔しい敗戦を喫したが、千尋の谷を駆け上がり、ゴールを量産してみせた。チームトップの山本の9得点に次ぐ、シーズン6得点。さらに、6得点全てをホームUスタで決めたのである。アカデミー育ちのプレーヤーがUスタで得点を積み重ねる姿は、クラブ関係者からすれば、何にも代え難い光景だったのではないだろうか。
 今季は、昨季よりも相手に警戒される選手として1シーズンを戦い抜くだろう。そして、彼の起用法にも注目したい。昨季は4-2-3-1や3-5-1-1のトップ下として活躍したが、今季はどのように配置されるだろうか。本職がトップ下という選手は、現状のスカッドでは山中1人のようにも感じる。仮にトップ下が用意されるのであれば、その待遇に見合った成果を残せるかどうかが鍵になりそうである。ただ、No.10やその期待に押しつぶされることなく、のびのびとピッチで躍動してほしい。

進 昂平 Kohei Shin

 2023シーズン、愛媛から加入したJ3を知るストライカー。そして、新たに増えたシュタルフチルドレンの一人である。また、新加入ながらも「ORANGE大使」としてAggressive Duelsの体現が求められる。
 特徴は、裏への抜け出しと得点能力。大卒1年目でYS横浜に加入すると、1シーズン目は目立った活躍はできず。しかし、2019シーズンにシュタルフイズムが浸透し始めると、得点能力が開花。30試合で15得点を記録した。
 昨季は群馬から期限付で愛媛に活躍の場を移した。J3での得点能力は証明済みのため、大きな期待がかかったが、度重なる怪我で満足に稼働ができず。14試合2ゴールという記録にとどまった。しかし、「J3で実績を残した選手」と呼べる経験はあり、シュタルフ監督と共闘経験があることも大きなメリットである。
 今季は怪我なく1シーズン戦い切ることを前提に、長野の負の歴史とも言える「得点力不足」を解消する活躍を期待したい。既に御殿場キャンプで行われたTRMでは十分な得点力を披露しており、リーグ戦での得点量産にも期待がかかる。2019年以来になる師とのタッグで、再びJ3を席巻する得点力を見せつけられるだろうか。

AC長野パルセイロ2023選手名鑑②へ続く

背番号13〜23の選手はこの記事からどうぞ!

背番号24〜48の選手はこの記事からどうぞ!


よろしければサポートお願いします! アウェイ遠征費やスタグル購入費に使わせていただきます🦁