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橙・走・心 〜J3 10年目の挑戦③〜

AC長野パルセイロ 2023選手名鑑③

AC長野パルセイロを応援する
とある学生の独断と偏見による2023AC長野パルセイロ選手名鑑。

「昨季こんなプレーしてたな」「今季はここに期待したい」
そんな目線で。

何より私自身が選手の名前と特徴を
シーズン前に一致させるためのメモでもある。

背番号1〜11の選手はこの記事から!

背番号13〜23の選手はこの記事から!

西田 勇祐 Yuki Nishida

 2023シーズン、育成型期限付移籍で加入した、生粋のハマっ子。中学年代から育った横浜FMから離れての初挑戦シーズンになる。
 特徴は、ユーティリティ性と安定感。主戦場は3バックのCBやRWB、4バックのRSBと予想され、風の噂では守備的ボランチもこなすことができるという。そして、守備的ポジションのマルチローラーでありながら、攻撃にアクセントを加えることのできる選手である。昨季J1王者の横浜FMで揉まれた戦術理解度の高さにも期待したい。
 昨季は、高卒ルーキーシーズンだったが、Jリーグ出場は果たせず。いくらユース育ちだとしても、J1の強度にいきなり順応することは難しかったようだ。ただ、リーグ優勝をするほどのレベル感で、同ポジションの選手からスタメンの座を勝ち取れないことは仕方ないとも言える。昨年末に行われた横浜FMvsローマの一戦で、途中出場を果たし、出場時間からすると十分な活躍を見せた。
 今季は、J1からの期限付加入とは言っても、厳しいポジション争いが予想される。3バックのCBであれば、シュタルフスタイルに適応した池ヶ谷や秋山、J3で実績十分の大野、世代別の常連佐古といった面々とのポジション争いが考えられる。また、RWBやRSBにはシュタルフチルドレンの船橋、音泉がいる。マルチローラーだからこそ器用貧乏にならず、特徴を発揮して出場機会を得る必要があるだろう。

安東 輝 Teru Ando

 2023シーズン、栃木シティから加入したサイドアタッカー。進と音泉とは東京国際大時代の戦友であり、当時のNo.9・10・11が長野の地で再会した。
 特徴は、推進力とテクニックを兼ね備えたドリブル。私自身、彼のプレーを多く見られたわけではないが、173cmと感じさせないほどがっしりした身体つきで、ドリブル姿勢が非常に美しいことが印象的だった。昨季、長野のジョーカーとして活躍したデュークが相模原に完全移籍し、他クラブから長野のサイドの切れ味は減退したと思われているだろう。しかし、彼なら自分なりの個性を発揮しながら、チームに勢いをもたらしてくれるのではないだろうか。
 今季は、森川と安東の2枚看板で左サイドを攻略すると予想されるが、森川が開幕前に負傷で戦線離脱を余儀なくされた。キャンプで他選手を同ポジションで試している可能性もあるが、個人的に左サイドアタッカーのファーストチョイスは彼になると予想している。
 プレーには全く関係ないが、松本の安東輝(アンドウ アキラ)とは、名前の漢字が全く同じ。登録情報の身長体重も全く同じ。生年月日はわずか5日違い、と何やら縁を感じるプロフィールだが、オレンジの安東は今季がプロ初挑戦。遠慮せず、個性を爆発させてほしいところだ。

青木 安里磨 Arima Aoki

 2023シーズン、松本大学から加入した期待の大卒ルーキー。濱名真央(松本)と同期で、松本大学初のJ選手輩出となった。
 特徴は、スピードとテクニックを兼ね備えたドリブル。所謂、違いを生み出せるプレーヤーで、左サイドやトップ下を主戦場としている。大卒ルーキーでありながら、J3で通用するレベルのテクニックとスピードを兼ね備えていると感じる。森川や安東、山中とポジション争いになり、本人にとって出場機会を得られるかが非常に鬼門になるシーズンだろう。
 昨季は、松本大学の選手として、長野とのTRMにも出場。見事に得点という形でインパクトを残した。今季の長野加入は、このTRMによる印象の大きさも影響しているのではないだろうか。
 今季は、大卒ルーキーイヤーということもあり、爆発的な活躍が期待される。森川や安東という経験豊富な選手とポジション争いを行うことは、今後のキャリアにとって間違いなくプラスに働いてくるだろう。直近で最もJ2昇格に近づいた2020シーズンは、大卒ルーキー世代の活躍が目立った。彼にも、経験という序列をひっくり返すような、圧倒的な活躍に期待したい。

鈴木 悠太 Yuta Suzuki

 2023シーズン、育成組織からの昇格という形で加入した高卒ルーキー。小西に続いて、育成組織からの直接昇格は2人目となった。
 特徴は、安定感のある足元の技術。登録ポジションはDFであり、主な起用ポジションはDFであるが、育成組織時代は、トップ下の経験もあるというユーティリティプレーヤー。その柔軟性を支えるのは、積み重ねてきた基礎技術だろう。
 今季は、3バック時のCBとして起用されることが予想される。西田の項でも述べたが、今季の長野において、3バックCBのポジション争いは最も熾烈と言えるクオリティだ。LCBには基本的に左利きの佐古や杉井の優先度が高くなるはず。そのため、残り2枠を池ヶ谷、秋山、大野、西田らと争わなければならない。最年少かつ唯一プロ経験がない選手として、若干ポジション争いに関してハンデがあるかもしれない。また、DFという経験や身体能力が重要なポジションでは、少しの差が顕著に質に現れやすい。
 しかし、この状況に甘んじて経験を積む1年と考えてほしくはない。シュタルフ監督が標榜する本物のOne Teamには、常に本気の競争が必要なはずだ。先輩の良いプレーを盗み、自分色を加えながら試合に絡んでいくことを期待している。

丹羽 匠 Takumi Niwa

 2023シーズン、早稲田大から加入した大卒ルーキー。今季加入した選手の中では、最も早い段階で加入発表がされた選手だ。
 特徴は、展開力とゲームのリズムを支配する力。高校年代までは、1列高いポジションでの起用もされていたようだが、大学でキャリアを重ねるにつれて、プレーメーカー的特徴を開花させていく。個人的なプレーの感想としては、宮阪の職人芸を機動力にやや移行させた選手という印象を受けた。
 今季は、各メディアで3-1-4-2で練度を高めているという内容の報道がされており、丹羽もアンカーポジションでの起用が想定される。そのため、ポジション争いの相手に挙がるのは、西村・宮阪・佐藤・原田といった選手だろう。丹羽も同ポジション起用の選手と比較すると、プロ経験がないことが懸念される。しかし、原田とは同年代であり、西村とも学年は1つしか変わらない。中盤の底でタクトを振るうセンスを磨けば、十分に出場機会を得られると考えている。
 高校年代でガンバ大阪ユースに所属し、2017年のJユースカップではUスタで準優勝を経験した。昨季、山中がホームゲームを得意としていたように、大卒ルーキーと高校年代までのUスタとの縁による、ホームゲームの大暴れに期待できるのではないだろうか。

濵田 太郎 Taro Hamada

 2023シーズン、開幕直前のキャンプ中に加入が発表された大型GK。今季は大分からの期限付移籍の形で、活躍の場を長野に移した。
 特徴は、ビルドアップへの貢献と高身長。初芝橋本高で高校サッカー選手権大会に出場し、大阪産業大に進学した後、大分への加入が決まった。大卒ルーキーで大分のスカウトが目をつけるGKということは、かなり期待ができるのではないだろうか。サイズを活かした基本的なシュートストップに加え、大分GKの系譜ともいうべきビルドアップの貢献性の高さは兼ね備えているだろう。
 今季は、キャンプ中での期限付移籍加入発表ということになり、チームとの連携面では、GK陣の中で最も遅れをとっているかもしれない。しかし、上位カテゴリーを知るGKとして、最後方から発破をかけ、チームを勝利に導く活躍に期待したい。
 また、キムミノの負傷離脱がクラブから発表されており、濵田にとってはスタメン入りの可能性が高まったと言える。矢田貝・リュウと差別化できるポイントは、ビルドアップと身長面で明白。あとは、基本的なシュートストップで2人に対して大きく劣ることがないか、DF陣との連携練度の高さはどうかという想定しやすいGKスキルが求められるだろう。自身の価値を証明するためにも、J3で出場経験を積み重ねたい。


リュウ ヌグラハ Ryu Nugraha

 2023シーズン、長野に復帰して2年目を迎えた最年少GK。福井ユナイテッドFCへの期限付移籍期間を含めると、在籍年数はチームトップとも言える。
 特徴は、高い身体能力を活かしたシュートストップ。新体制発表会では、人見知りな一面も覗かせつつも、「見ている人があっと驚くシュートストップ」をストロングポイントとして挙げた。矢田貝とともに、GK陣の中では低身長側に属するが、自慢の反応速度で序列を覆したいところだ。
 高卒ルーキーイヤーも含めて、正式に長野在籍になるのは今季で3シーズン目。未だにJリーグデビューは果たせていない。高卒ルーキーイヤーは、ベテランGKも多く、なかなか高い壁を超えるには至らなかった。しかし、昨季はGKに怪我人が続出したこともあり、出場には至らなかったものの、Uスタのベンチに座った。一段一段階段を登っている現実があるだけに、今季こそJリーグデビューを飾りたいだろう。
 高卒ルーキーとしてプロ入りしたが、大学に進学した同期も今季からプロの世界に入ってくる。ついに、年齢や経験という言葉ではごまかせない世代に属することになった。シュートを打たれないに越したことはないが、そのファインセーブでチームを救い、Uスタを大いに沸かせる活躍に期待がかかる。

原田 虹輝 Koki Harada

 2023シーズン、期限付移籍期間延長という形で長野での2年目を迎える大島2世。単なる期限付移籍期間延長ではなく、シーズン中に保有元の一存でレンタルバックできる育成型に切り替えたことからも川崎側からの高い期待値が伺える。
 特徴は、大島僚太(川崎)を彷彿とさせる基礎技術の高さと戦術理解力の高さ。昌平高時代に才能を認められ、高卒ルーキーでありながら、川崎への入団をした逸材。決して体格に恵まれているとは言えないが、安定した基礎技術で難なくパスを通し、涼しい顔をしてチームにリズムを生み出せる人材である。
 昨季は、リーグ戦での出場機会を多く得られず、シーズン前半は天皇杯長野県予選での出場となった。確かな基礎技術を見せながらも、フィジカル面での不安を露呈する場面もあり、リーグ戦での活躍は見られなかった。しかし、シーズン終盤に、3-5-1-1→4-2-3-1の可変システムにおけるRWB/RSBとして活躍の片鱗を見せた。
 今季は、起用ポジションに注目していきたい。昨季の終盤と同じように、サイドに置くゲームコントローラー、チームの2つ目の心臓として配置するのか/本職である中盤に配置するのか。今季のチームにおいて、タスクが最も読めない選手である。いずれにしても、彼にしかない能力は十分に伝わってくる。あとは、リスク管理を含めたフィジカルレベルがJ3の基準に追いつくかどうかが重要だろう。

山本 大貴 Hiroki Yamamoto

 2023シーズン、在籍2年目となるストライカー。カメラを向けられるとポージングしてしまう30代の若手(!?)である。
 特長は、裏への抜け出しとファーストタッチのしなやかさ。179cmと身長のあるFWで、ポストプレーヤーに見られがちだが、真髄はDFラインとの駆け引きを制する背後への抜け出し。年齢を重ねて瞬発的なスピードは下がったかもしれないが、駆け引きの引き出しが増えたのでプラマイで若干プラスの印象。
 昨季は、怪我で出遅れたものの、シーズン折り返し頃に完全合流。得意の裏への抜け出しに加え、空中におけるファーストタッチのしなやかさを活用してポストプレーも難なくこなした。クロスに合わせる空中姿勢は芸術作品そのもの。また、1分で2ゴール記録(第33節)というとんでもない仕事もやってのけた。キャリアハイの9得点を重ね、チームトップスコアラーとして活躍した。
 今季は、昨季ポジションを争った宮本が八戸へ、佐野が新宿へ移籍。ライバルが減ったかと思いきや、シュタルフチルドレンの進、新進気鋭の木原、得点感覚を取り戻した高窪がライバルに。進や木原は裏への抜け出しを得意としており、プレータイプが重なるところもある。ポテンシャルの溢れるFW陣の中で、如何に個性を出して活躍できるかが鍵になりそうである。怪我なく活躍し、キャリア初の2桁得点も狙いたいところだ。

佐古 真礼 Maaya Sako

 2023シーズン、育成型期限付移籍で東京Vから加入したパリ世代の代表常連DF。193cmの身長はチーム最長身となっている。
 特徴は、空中戦の強さと左足のフィード。圧倒的な身長の優位性という天性の才能を持ち、DFにとってこの上ない長所になっている。そもそもの身長で空中戦に強いのだが、世代別代表経験があるため、経験値も並の若手DFとはわけが違う。空中戦までの過程における駆け引きも、非常に重要なエアバトルの要素で、高さ×駆け引きの経験を持つ彼には期待せざるを得ない。
 そして、何といっても左利きというアドバンテージ。対空性能に優れたDFかつ、左足でスムーズにビルドアップのテンポを生み出せるDFはそうそういないだろう。DFとしての声による守備組織の構築も代表で培い、一見敵無しに見える。
 しかし、これまで述べた全てがトップレベルであれば、保有元の東京Vが手放さなかったはずだ。判断の精度なのか、判断の速度なのか、何かしら成長を求めて長野にやってきたはず。この課題の見極めはシーズンを通して行っていきたい。
 今季は、3バック運用の想定が基本軸になると考えられ、LCBとしての起用が予測される。考えうるライバルは杉井だろう。左利きというメリットは同じである。フィード面で考えると杉井が上手、対空性能で考えると佐古が上手だ。相手のスタイルによって使い分けることも想定されるが、このクオリティの左利きCBが2人いることは非常に大きなメリットだろう。熾烈なポジション争いで長野を何段階も上のステージに牽引してほしいところだ。

高橋 耕平 Kohei Takahashi

 2023シーズン、在籍2年目を迎える猟犬型ボランチ。長野の他選手とは一線を画す身体の太さである。
 特徴は、鋭いボール奪取。機動力とフィジカルを活かして、ボールホルダーに対して、鋭いアプローチをかけることができる。横山体制下に札幌大在籍中ながらも、長野の一員として戦った。決して、プレータイムを多く見られたわけではないが、中盤で熱くファイトする姿勢は当時の長野に必要なピースだった。
 昨季は、わずか1試合の出場にとどまった。2021年横山体制下における補強方針で加入した選手だったため、新指揮官とのフィットを図ることが難しかった影響もあるかもしれない。また、昨季の戦い方のベースになった変則的な中盤の形では、彼の能力が活かせる配置が難しかった可能性がある。実際に、起用された試合では、RWB/RSBを担っていた。
 今季は、本人も語るように勝負の年。大卒2年目までに一定の成果を個人として残せるかは、今後のプロキャリアにおいて非常に重要な鍵を握っている。開幕前に負傷離脱がリリースされ、スタートから出遅れる厳しい状況だが、焦らずに最高の状態で合流してほしい。個人的には、佐藤のスタイルが、彼にとっての活躍プレーモデルになり得るのではないかと感じている。

砂森 和也 Kazuya Sunamori

 2023シーズン、鹿児島から加入した左足のスペシャリスト。貴重な左利きのLSB人材である。
 特徴は、左足の正確なキック。豊富な経験値を活かし、サイドバックから効果的な攻撃参加を見せることが多い。所謂、サイドレーンの上下動に加え、ボックス内に進入することも厭わない。2013年のJFLでは、Honda FCに在籍しており、J加盟以前の長野と対戦した経験も持つ。
 昨季は、鹿児島でJ3リーグで8試合出場。出場試合は年々減少傾向にあるが、出場機会を得た試合では、目立った活躍は少ないながらもタスクを確実に行っていた印象。何といっても、昨季までにJ3通算出場数91試合を記録している経験値は大きいだろう。
 今季は、3バック主軸の情報が飛び交っているが、3バックとなった時に彼がどの配置で起用されるのかに注目したい。単純に考えるとLWBでの起用が思い浮かぶが、大外に張らせたままの起用はもったいなさも感じる。彼の内側にWG的ポジションの選手を入れ、内外を入れ替えることによるカオスを生み出すことも彼の起用メリットの一つだと感じる。
 チームの中では宮阪に次ぐ世代として最年長格である。最年長格のスタンスによって、チームに与えられる影響は少なくないと感じるため、今季の命運を握る一人と言っても過言ではないと思う。

2023 J3 第1節 テゲバジャーロ宮崎vsAC長野パルセイロ 
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