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【ブックレビュー】 市民と戦争の関係

一般市民が戦争に巻き込まれていく。または戦争が自分たちの生活を侵食していく。後から見れば凄惨な悲劇だけど、巻き込まれている最中の自分たちにとってははそれが日常になっていく。という2冊を紹介します。

ウジョとソナ 独立運動家夫婦の子育て日記

著:パク・ゴヌン 訳:神谷丹路  原案:ヤン・ウジョ、チェ・ソナ
日中戦争勃発から太平洋戦争の終結まで、中国に亡命していた韓国の独立運動家夫婦の話。戦火を逃れるため、中国内を転々としながら書き綴った子育て日記がもとになっている。夫婦の孫であるキム・ヒョンジュ氏が日記を小説化し、それをパク・ゴヌン氏がグラフィックノベル化したのが本書。娘の成長記録を軸に話が進む。住むところが決まったと思えば爆撃で街が破壊され...を繰り返す生活の過酷さと子どもの生命力が並列して描かれている。生活の細かい部分まで丁寧に描写されていて一気に読んでしまった。

完司さんの戦争

著:越智典子 イラスト:コルシカ 
ちょうど「ウジョとソナ」と同時代ということで日本側の市民の視点が知りたくて入手。新潟出身の完司さんが徴兵され、グアムで過ごした一年余りについての話。コルシカさんのイラストが魅力的でずっと気になっていた。爆撃によって左足を失いながらグアムで一年以上生き延びた。という帯の文を見てショッキングな内容を想像していたが、それは本書のメインではない。一般市民が戦争にどう巻き込まれて、どう生き延びて、何を考えていたのかが本書では描かれている。


文・イラスト:長野

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