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009親知らずと信頼

自分の命運を誰かに託さないといけない、みたいな場面がある。例えば就活においてのエージェントとか、年老いた家族を施設に預けるとか、ほんとうにちょっとしたことだと美容院で髪を切るとか。
そういうときに「この人なら」と思える人を見つけられることは幸運だと思う。

この間、親知らずを抜いた。上下で計4本。上の親知らずは小さいながらもまっすぐ生えていたし、下のほうは埋まっていたので生えていないと思っていた。それが、かかりつけの歯医者は抜いたほうがいいという。

困るのが「抜かなければならない」とはいわれないということだ。あくまでも「抜くことをおすすめする」虫歯にならなければ問題ないので、判断はこちらに委ねられるよう。
ものすごーーーく嫌だったけれど、わたしは抜くほうを選択した。

今かかっている歯医者はかなりしっかりと説明してくれて安心感を与えてくれる人で、わたしはけっこう信頼して通っている。
この医者が言うんだったら、もし間違っていたとしても仕方ない
と思って、すすめてくれたほうを選んだ。

信頼はある種の諦めに似ている。なにかを頼むとき、絶対に間違いが起こらないことなんてないし、なんの疑念もわかないことなんてない。だから、「この人なら絶対に大丈夫」ではなく「この人でダメなら仕方ない」と思う。そんな信頼感は強い。

そのためにはきっと腕はもちろん、なにより誠実さがいるんだろう。


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