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【不動産考察 第4回】住宅バブルの再到来?

今や不動産は「負動産」や「腐動産」などと揶揄される存在にまでなり下がってしまいました。当然、超高齢化社会、人口減少社会に既に突入している日本では、場所やモノをちょっと間違えれば不動産の所有自体が将来的にマイナスの資産となりかねない時代となっており、今後、この傾向はますます加速していくものと「総論としては」私自身信じて疑いません。

もはや、郊外の戸建を購入するのは、リスクを抱え込むだけであり、既に所有している人は一刻も早く手放すべきだと考えます。

では、このような悲観的な時代において、不動産(住宅)は購入すべきでないのでしょうか?

今もバブルなのか?

 都心のマンション価格がバブル期を超えたというニュースを最近みましたが、「価格」だけを捉えて買っていい、買ってはならないを判断するのは間違いです。
不動産価格はその時々の経済環境、特に金融マーケットの情勢に左右されます。バブル期の金利情勢と現在の金利情勢を考慮に入れた場合、必ずしも、現在の不動産価格が極端に高いとは必ずしも言えないと考えます。
バブル期と違い、今は収益還元的発想が庶民の間にも浸透しており、貸したらいくら?というチェックをしてから皆さん自宅を購入しているのではないでしょうか?

ここでやや専門的な話になりますが、価格には、費用性、市場性、収益性という三面性があります。不動産も同じであり、不動産鑑定の世界では以下のように説明されます。

費用性 →原価法 →   積算価格
市場性 →取引事例比較法 → 比準価格
収益性 →収益還元法 → 収益価格

日本の高度経済成長時代は、不動産価格は、費用性と市場性だけで決まっていました。過去においては、デベロッパーの土地仕入れコストに建築費を投下して利益を加算した価格(つまり積算価格)がそのままマーケットに受け入れられ市場を形成していきます。そして、マンション購入者は、周辺部の相場を見ながら高い安いを比較して妥当な価格(比準価格)だと判断し購入を決断してきました。

日本に収益価格の考え方が本格的に導入されたのは、バブル崩壊後においてアメリカ資本のハゲタカさんがこの考え方を持ち込んで以降です。その後、相応の時間をかけて収益価格は庶民にも浸透していくことになります。
自宅を賃貸に出すといくらぐらいの家賃になるか?投資利回りは?などを検討要素の一つに入れるのも収益価格的発想であります。

収益価格で考えると?

ここで、収益価格を説明してみましょう。収益価格は、数式にすると少し捉えにくいので感覚として理解できるように解説してみます。正式には複利現価という概念を理解しなければならないのでここでは超分かりやすく説明できるように努力します笑

まず結論:金利が高くなると、不動産価格が下がり、金利が低くなると不動産価格が上がります。

例えば、以下の質問に答えていただくと直ぐに理解できます。

質問1:定期預金の金利が6%ありました。不動産投資で何%のリターンがほしいですか?

一方で、

質問2:定期預金の金利が0.01%ありました。不動産投資で何%のリターンが欲しいですか?

達観で、質問1なら8~10%ぐらい、質問2なら3~4%ぐらいというのが皆さんの落ち着きどころではないでしょうか?

このように同じ不動産でも期待するリターンが金利環境によって左右されることは直観的に理解できると思います。そして、収益をこの期待リターンで割り戻したものが収益価格なのです。

例えば、家賃が月額10万円で一定という条件のもと(むしろバブル期より家賃は下がっている)、収益価格を算定してみると理論価格は以下の通りになります。ここでは議論を単純化するためにグロス利回りにて考えます。

収入:10万円×12か月=120万円 → 還元利回り8% → 1,500万円
収入:10万円×12か月=120万円 → 還元利回り4% → 3,000万円

と理論価格は倍の価格になります。

不動産価格は将来のキャッシュフローや金利情勢の予想を織り込んで形成されますので、現時点の収入や利回りだけで考えるのは禁物ですが、少なくとも金利のインパクトだけを考えると、倍の価格が正当化されます。


バブル時は、収益還元的価格形成が浸透していない時代だったので一概には言えないのですが、今の不動産価格がバブル期を超えた!というのは、単に金利が低くなっており、長期的に金利が当面は上がらないと市場参加者が考えているから成り立っている側面もあります。

ということで、今の不動産価格(特に新築マンション)は確かに高すぎるという感覚を持っていますが、メディアが言うように「前回のバブル期を超えた!またしてもバブル到来だ!」というのは悲観的過ぎると感じます。

新築価格はコストプッシュインフレ

新築マンションが高止まりしている要因としては、先ほど説明した積算価格が上昇しているからです。経済学を学んだことがある方であれば、コストプッシュインフレという言葉を耳にしたことがあると思います。正に、都心の新築マンションで起きている現象は、土地仕入れコストの上昇に加え建築費の上場などのコストを売価に転嫁せざるを得ないデベロッパーの事情を反映させたコストプッシュインフレが起きているということなのです。

狙い目は都心の中古マンション

新築マンションは平時でも1日住めば10%価格が落ちると言われております。そこで、高止まりした新築でなく中古マンションに着目することを、どうしても不動産投資がしたい、自宅が買いたいという方にはおススメいたします。中古マンションを購入する際のチェックポイントとしては、以下の通りです。

・駅近物件であること
 最近の消費者はネットで駅距離を検索してから買います。今後は、都市がコンパクト化していくことが想定されるので、駅距離はますます重要になります。個人的感覚ですが、今後は徒歩10分を超えると厳しくなってくると考えます。

・ボリュームゾーンにあること
 極端に狭い・広い、極端に新しい・古い、極端な間取り
 マニア向け物件などがテレビで持てはやされていますが、流動性が極端に低いです。面白くない物件=流動性の高い物件です。

 特に今後は大きすぎる物件はニーズが縮小していくので、よりコンパクトな物件が好まれるようになっていくでしょう。

このように考えると、都心の駅近のコンパクトマンションは中古マンションとしては投資妙味がまだまだ残っていると感じます。


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