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ベストを尽くすわ

実は、シン・エヴァンゲリオンの中で一番好きな台詞がコレである。リツコさんがミサトに頼まれごとをした時に返した言葉。ネタバレになるので背景は割愛するが、レイの「ぽかぽかする」やアスカの「あんたバカァ」「気持ち悪い」やシンジくんの「笑えばいいと思うよ」「最低だ」等の名台詞を抑えて、ナンバーワンに躍り出たのが

「ベストを尽くすわ」

であった。(永池マツコ内調査による)

「わかった」「任せておいて」などの相手に夢を見させる様な安請け合いではなく、「頑張る」「努力する」という抽象的なものでもない。「成功するかは保証できないが、自分にできることはやる」という意味だと私は解釈し、相手も自分も尊重した素晴らしい返答だと思っている。

人に何か頼まれごとをして引き受ける時、それがうまくいく保証はどこにもない場合がある。なのに「わかった」「任せておいて」という類の返答をしてしまうのは、相手を安心させたい、或いは自分の信用を得たい、適当にこの場をやり過ごしたい、などのエゴなのではないか。また「力になれるか分かりませんが…」や「どこまでお役に立てるか…」などは、謙遜でもあるが自分ファーストな答えだと思う。

リツコさんは「ベストを尽くす」と言った。割と大事な局面で、嘘をついてもいい局面で、彼女はそう言った。ミサトさんのことを共に戦う仲間としてリスペクトし、友人として愛し、誠実に向きあった結果、紡いだ言葉だったのだろう。

或いは口癖だったとしても、相手に対して誠実でありたいという姿勢を感じられる言葉だと私は思うのだ。


ベストを尽くすわ。


シン・エヴァを見てからというもの、大事な局面でこっそり使うようにしている。

私もリツコさんのような賢くて誠実な人になりたい。


ながいけまつこ

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